2000年05月17日 内閣委員会

○植竹委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。仙谷由人君。

○仙谷委員 本日、朝鮮半島出身の軍人軍属の方々に対するいわゆる補償が、遅きに失したとはいえ議員提案で成立をすることになっておるようでございます。私も、この問題には直接タッチをしておりませんが、いわゆるサハリン残留韓国人の方々の問題にはそれなりの努力をしてまいったつもりでございます。

 このような、いわゆる日本の植民地支配による個々人に対して、全く何の手当てもなされていない、戦後処理がなされていないということについては、世代的にも、何で我々のさきの世代が日本の戦争責任、そして戦後責任を自覚して早急に処理をしてもらえなかったのかという思いが、一方ではあると同時に、日本の政治の立場として、これを早く解決いたしませんと、二十一世紀のアジア諸国との関係というのがそれほどうまくいかないという思いにとらわれているわけであります。

 それで、遅きに失し、かつまたこの法案で提案されている内容で果たして十分なのかという点から考えますと、必ずしも十分であるとは思いません。思いませんけれども、曲がりなりにも、本日、議員の諸先生方の御尽力によって法案が成立するという段階に立ち至っているわけでございます。

 これはコマーシャルではございませんけれども、愛を金で買うことはできないけれどもお金に愛を盛ることはできるという生命保険のコマーシャルがございます。その伝でいきますと、これはいわゆる一部の補償的なことをお金で支給するという法案であるように理解をするわけでございますが、やはり補償だけではなくて、補償的な金員の交付だけではなくて、この段階で政府としては何らかの謝罪のメッセージが必要なのではないか、こういうふうに考えますけれども、官房長官、いかがでございますか。

○青木国務大臣 お答えをいたします。

 本件につきましては、現在の恩給法、援護法等の範囲を超える問題であり、また、韓国の方々に係る財産請求権の問題については、議員御承知のとおり、昭和四十年の日韓請求権・経済協力協定によって、在日韓国人の方々に係るものを含め、日韓両国間では、法的には完全かつ最終的に解決済みであるということでございます。

 ただ、議員おっしゃいますように、二十世紀に起きたことは二十世紀に解決をして近隣諸国との友好を図らなければならないという人道的な立場から、今度議員立法としてこの法案が提出されたものと私も理解いたしておりまして、法的な解決はしておりますけれども、そういう観点に立って議員の皆様方が鋭意検討をされた結果、今回の法案になったもの、そういうふうに私も理解をいたしております。

 

○仙谷委員 私の質問にもう一遍答えてほしいんですが、政府としては、この種の補償的なことをお金を出すということでなさるわけですから、その対象の相手方に、例えば、処理がおくれて申しわけなかったとか、そもそもの原因は日本の戦前の植民地支配にある、まことに申しわけないことをした。例の村山首相の談話程度のことはお話しになるべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。

○青木国務大臣 確かに、人道的な立場における戦後処理が今日まで長引いてき、非常に長い間御心配をかけたことは私も非常に残念なことだし、その点については議員と同感でございますが、この法案が通ることによりまして、そういう問題に対する我が国の態度がはっきりと示されるものと考えておりまして、別に改めてそれに対して、いろいろな問題をこの際発言することは差し控えたいと思います。

○仙谷委員 天皇を中心とする神の国だとおっしゃる方が総理大臣ですから、政府として言えないのかもわかりませんけれども、私は、村山内閣当時の政府の見解からしても大変な後退だと思いますよ。この点は、時間がございませんので、別途また議論をさせていただきたいと思います。

 そこで、小渕前首相がついに逝去をされました。大変な激務の中で、いろいろな精神的、肉体的疲労をされて病を得られた。そして、ついには再起できなかったということについては私も心から同情をし、お悔やみを申し上げたいと存じます。

 しかし、その問題と、いわゆる四月二日から四日の総辞職までにかけて起こったことというのは、先般初めて医師団が記者会見をしたわけでございますが、ますます官房長官がおっしゃってきたことというのは疑惑に包まれているというふうに言わざるを得ないと思うのですね。

 その点についてお伺いしますが、端的に事実だけをお答えいただきたいのです。官房長官が最初に記者会見をされたときには、ほとんど総理の言葉、どういう言葉が発せられたのかというのをおっしゃっていないのですね、四月二日の段階では。四月三日になって初めて記者会見でおっしゃったんです。それで、官房長官がその当時、総理がこういうふうにおっしゃったというふうに記者会見で発表された言葉、これが果たして小渕前総理から発せられたのかどうかということだけお伺いしますから、イエスかノーかで答えてください。

 まず、有珠山噴火対策も一刻もゆるがせにできないので、こういう言葉を総理が発したというふうに官房長官はおっしゃっています、記者会見で。この言葉は確かにあったのですか、なかったのですか。

○青木国務大臣 私が二日の日に詳しいお話をしなかったのは、まだ病状がはっきりしない段階で、夜中の段階でございましたので、いろいろな混乱を避けるために、三日の日まで、私は正確な病状等について説明をいたしておりません。

 それから、今お尋ねになりました有珠山云々という問題については、私が七時前後に総理とお会いをいたしておりまして、そのときに総理の方から私に対して、有珠山の問題もあり何かあれば後をよろしく頼むということを言われたわけでございます。

 ただ、この問題につきましては、いろいろ何か私の発言が二転三転しているような報道もなされておりますが、私の発言は終始一貫いたしておりまして、ただ、五、六分、私が総理と話をしております。総理と官房長官という間でございますから、総理がきっちり一息にそれを言われたか、途切れ途切れに言われたか、どういう状態の中で言われたかということは、私は一々病状について皆様方にお答えをする必要はないと思っております。

 要は、総理の意図をはっきりと私が酌み取って、はっきりと正確にそれを皆様方に、表へ表現をしていけばいいと考えておりまして、間違いなく総理はこういうことを全体の話の中でおっしゃったことは、何ら間違いありません。

○仙谷委員 何か最初のお答えは、有珠山噴火対策も一刻もゆるがせにできないので、という言葉を発したことを確かに官房長官は聞いたというお答えですね。聞いたというお答えですね。何か最後になってくると、意図を察したみたいなことを言われるからおかしくなる。これは本当に当時の前総理が病床の中でこの言葉を発したのですね。いいですか、間違いないですね。間違いない。では議事録に、間違いないと言ったと書いてください。

 検査結果によっては、という言葉はどうですか。??では、お忘れのようですから、もう一遍聞きましょう。

 有珠山噴火対策も一刻もゆるがせにできないので、次の、検査結果によっては青木長官が臨時代理に当たるように、そういう言葉を受けたんだ、こういうことを四月三日の記者会見でおっしゃった。だから、その言葉が現実に前総理の口から発せられた言葉であるかどうかを聞きたいわけです。

 まず、検査結果によっては、というこの文章、言葉が総理から発せられたのかどうなのか、これをお答えください。

○青木国務大臣 今も申し上げましたように、発表の時間が翌朝になったのは、深夜でもありましたのでできるだけ混乱や誤解を招かないために、私は、三日の午前十一時に定例記者会見でこのことを申し上げたわけでございまして、内容については、終始一貫、何ら私が申し上げていることに変化はございません。

○仙谷委員 前総理の口から、検査結果によっては、という言葉はあったんですね。

○青木国務大臣 総理と私とは官房長官と総理という間でございまして、これは親子兄弟と同じような関係でございますので、私が五、六分、総理と話した、どういう形で話をしたか、総理の状態はどうだったか、有珠山をいつ言って、よろしく頼むをいつ言ったか、そういうふうなことは、私は、一々その現状について報告をすることは必要ないと考えております。

 ただ、総理がはっきり、有珠山の問題もこれあり、とにかくよろしく頼むと言われたことが私は一番根本でございまして、その間にいろいろ総理と話をしたことの内容について一々、病人対私の会話でございますし、総理対官房長官の話でございますので、私はこれは信用していただく以外にない、そういうふうに考えております。

○仙谷委員 これは、僕は前回も内閣委員会で質問申し上げたのですが、あらかじめ指定あるいは任命という行政行為に係る事柄ですから私は聞いているんですよ。

 今みたいな、まあ、親兄弟みたいなものだから以心伝心だみたいな話をされても、それはいけません。やはり、どういう言葉が前総理の口から発せられたか、それを法律の眼鏡をかけて見ると、行政法の眼鏡をかけて見ると、内閣法九条のあらかじめ指定に当たるのかどうなのかというのはこれは別の客観的な判断ですから、生の事実として前総理が官房長官に対してどういう言葉を発せられたのかというのが確定されませんと、いかなる行政行為が行われたかということが次に確定できないわけですよ。そんなことは、官房長官なんかベテランだからよくわかっているでしょう。

 検査結果によってはという言葉はあったんですか、なかったんですか。なかったんですね、今の答弁によりますと。

○青木国務大臣 私が衆参の本会議の質問に答えたことが一番正しいことでございまして、その際、総理より、有珠山噴火の心配もあり、何かあれば万事よろしく頼む旨の指示を私は受けたわけでございまして、これが本当のことでございます。

○仙谷委員 それでは、検査結果によってはという言葉は前首相から発せられていない、こういうことでよろしゅうございますね。

 それでは次に、青木長官が臨時代理に当たるようにという言葉は、これもなかったんですか。なかったんだったらなかったというふうに確認してください。そういう言葉はなかったんですねということを聞きたいのです。

○青木国務大臣 ですから、再三申し上げますように、私が本会議で答弁いたしましたとおり、総理の言葉は、有珠山噴火の心配もあり、何かあれば万事よろしく頼むと。

 今、議員は、内閣法九条の問題を言われましたが、私は、総理と官房長官という間で、しかも本人、病人でございますので、有珠山の問題もあり、万事よろしく頼むということが、そのまま、万一のときには臨時代理に就任してくれということに私は受け取っておりまして、この受け取り方は私は何ら間違いがないと今でも信じております。

○仙谷委員 しつこいようですが、もう一遍聞きます。青木長官が臨時代理に当たるようにという言葉は??あなたが受け取ったかどうかは別の問題なんですよ。前総理の口から青木長官が臨時代理に当たるようにという、その言葉はなかったんですね。

○青木国務大臣 総理自体が恐らく当時の自分の病状について正確にわかってもおりませんし、私自身も、総理が恐らく一両日静養をすれば当然もとの体に返ることを願っておりましたので、臨時代理というような言葉は一切出ておりません、しかし、何かあれば万事頼むということは、何かあったときには臨時代理をやってくれということと私は解釈いたしておりまして、そのことは私は何ら間違いがないことだと今でも考えております。

○仙谷委員 そうしますと、この四月三日の記者会見でおっしゃったことは、総理の口から出た言葉ではないけれども、あなた自身が受け取ったことを言葉に直して、いわば私から言えば言葉を捏造して、記者会見で発表したということになるじゃないですか。どうですか。そういうことでしょう。

○青木国務大臣 私は、捏造なんか一切しておりません。第一、基本的に考えていただけば、私は、何も無理してそんなうそをついたりいろいろなことをしてまで総理大臣代理に就任しようなんということは、これから先、考えたこともありません。

 ですから、私は、総理の病状が悪化した時点でよろしく頼むと言われたことは、そのまま、何かあったときには臨時代理としてやってくれと言われたという解釈を私がするのは当然のことじゃないかと思っております。

○仙谷委員 全然当然じゃないですよ。そんな得手勝手な解釈をして臨時代理にでもなれたり内閣の総辞職をできたりするんだったら、法律も要らなければ、何も要らないじゃないですか。内閣も要らないじゃないですか。

 いいですか、内閣法の解釈では、突然総理が欠けたときには、閣議でも開いて代理を選ぶか、あるいは閣議の中で総辞職を決めるか、どっちかしかないと書いてあるじゃないですか。あなたみたいな解釈は通用しない。(青木国務大臣「委員長」と呼ぶ)ちょっと待ってください。

 そこで、さらに伺うけれども、万事よろしく頼むという言葉は、本当に小渕前総理の口から出たんですか。本当に出たんですか。

○青木国務大臣 本当に出たからこそ私は今までそれを言い続けておりますし、最終的には、何かあったら万事頼むということが一番最後の決め手であろう、そういうふうに判断をして私は臨時代理に就任をしたわけでございます。

 今、議員、臨時閣議を開くべきだとおっしゃいましたが、確かにそういうことも一つの方法だったと思います。しかし、ああいう緊急の場合、私は、総理の容体が非常に悪くなったという知らせを受けて、官房副長官に、そういうときに法的にどういう手続を経なきゃいけないかということをすぐ指示をいたしました。その結果、総理から万事任すということで、万一のときには臨時代理に就任しろという意図があれば、法的には臨時閣議を開く必要も何もないという回答を受けておりますし、私は私の判断は何ら間違っていないと今でも考えております。

○仙谷委員 持ち時間が終了しましたということでございますのでやめますが、そんなに頑張れば頑張られるほど、医者の記者会見を聞いた専門家は、まさに、万事よろしく頼むというのも途切れ途切れでもしゃべれるような状態でない、JCSの二番というのはそんな状態ではないということは医者の常識じゃないですか。もうそんなに頑張らない方がいいと思いますよ。本当のことをおっしゃった方がいいと思います。

 質問を終わります。