2000年04月26日 内閣委員会

○植竹委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。仙谷由人君。

○仙谷委員 それでは、内閣総理大臣交代に関する事実経過及び法律問題について、前回の決算委員会に引き続いてお伺いをいたします。

 法制局の方にちょっとお伺いするのですが、内閣総理大臣の臨時代理をあらかじめ指定するという行為がございますね。これは、法律上の根拠規定というのは、あるいは憲法上の根拠規定というのはどこにあるんですか。

○阪田政府参考人 今お尋ねの内閣総理大臣のあらかじめの指定の根拠でありますけれども、憲法にはございません。内閣法第九条でございます。「内閣総理大臣に事故のあるとき、又は内閣総理大臣が欠けたときは、その予め指定する国務大臣が、臨時に、内閣総理大臣の職務を行う。」という規定であります。

○仙谷委員 素直に読みますと、この規定は、指定をされた国務大臣が内閣総理大臣の職務を執行する要件を記載、規定してある、そういう条文のように読めますね。つまり、指定そのものの根拠を書いてあるようには読めないわけなんですよ。だけれども、この条文を使って根拠規定にするという解釈ならば、それはそれで結構なんですが、そういう解釈なのかどうなのかが一つ。

 それから、この行為の主体はだれかというのが二つ目。

 この行為の講学上の性格は何なのか。行政処分とか行政行為とか。

 四つ目の質問は、公定力というふうなものはあるのかないのか。

 この点にちょっとお答えください。

○阪田政府参考人 お答えします。

 御指摘のように、どういうときに指定された臨時代理が職務を行うかという要件を直接的には規定したものであると思います。

 ただ、ほかにどういう場合に指定をするとか、だれが指定をするとかいうことを具体的に書いたもの、あるいはどういう方法で指定するかという要件についても定めた規定が全くございませんので、この規定によって、特段の要式行為としてではなく指定することができるというふうに解しております。

 それから、この指定の講学上の性質ということであろうかと思いますけれども、これは先日も別の委員会でお答えしたことがあるわけですけれども、特定の国務大臣を一定の場合に内閣総理大臣の職務を行うという立場、いわゆる法定代理者という立場に置くという、我々が教わった行政法の概念でいいますと形成行為に当たるというふうに解されております。

 それからもう一つ……(仙谷委員「主体」と呼ぶ)これは、その指定するという字句からして、指定をする主体は内閣総理大臣であるというふうに理解しております。(仙谷委員「公定力の方は」と呼ぶ)多分推定は働く、公定力といいますか、適法に指定された者という推定は働くということだろうと思います。

○仙谷委員 そこで、お伺いするわけですが、官房長官も今の解釈にのっとって、御両者からお答えいただきたいんですが、そうすると、今回の場合、臨時代理の指定行為というのは四月三日になされた、あるいは何時何分になされたという理解をすればいいのか。この点なんですが、いかがですか。

○阪田政府参考人 具体的な事実関係を詳しくは承知していないわけですけれども、今までお聞きしているところでは、官房長官が小渕前総理にお目にかかられたときに、万事よろしく頼むという旨の御指示を受けられたというふうに承知しております。それは四月二日の夜であるというふうに聞いております。二日のたしか夜だというふうに承知しております。

○青木国務大臣 私が臨時代理に就任した正確な時間は、法的には三日の午前九時、そういうふうに私も理解をいたしております。

○仙谷委員 官房長官、失礼ですが、就任のことを聞いていないんですよ。まだ就任のことを聞いていないんです。指定をされたのがいつかと聞いているんです。つまり、法律上は、指定と代理者への就任というか職務執行を始めるというのは全然別の概念なんですよ。

 それで、いいですか、四月三日の十一時に官房長官が記者会見をされて、九時に就任いたしました、こういうことをおっしゃっているんですよね。九時に。だからさっきの法制局の方にもあえて聞いたんですが。そうすると、官房長官、あらかじめ指定というのはあったんですか、なかったんですか。つまり、職務代理者としての職務を始められたのが九時なら九時でいいですよ。だけれども、あらかじめ指定というのはそもそもあったのかなかったのかということを聞いているんですよ。

○青木国務大臣 私が今申し上げたのは、法的に就任したのは九時と申し上げましたが、指定ということになりますと、二日の七時ごろ総理にお会いをし、総理から何かあったときにはよろしく頼むと言われたのが指定された時期であろう、そういうふうに解釈をいたしております。

 

○仙谷委員 では何で官報に、「人事異動」「内閣総理大臣小渕恵三病気につき内閣法第九条の規定により臨時に内閣総理大臣の職務を行う国務大臣に指定する(四月三日)」、四月五日付の官報に四月三日に指定したということが書かれておるじゃないですか。官報はうそですか。

○阪田政府参考人 そこは、ちょっと官報を見ていなかったので申しわけないのですけれども、現実に職務を開始されたという日に着目して、その「指定」を受けた旨の公告はなされたものだというふうに承知しております。

○仙谷委員 いやいや、だから、そんないいかげんな話じゃないでしょう。つまり、指定と就職といいましょうか職務代理者としての職務開始が同じだという解釈をとっていらっしゃるんでしょう。これはもともとそうだったんじゃないんですか。だから四月三日と書いてあるんでしょう。

 つまり、官房長官のこの間の時系列を追ったお話をずっと聞いておりましても、ふわっとした話はあるけれども、臨時代理になるかどうかはいろいろ考えていたんだ、次の日によみがえってまた出てこられるかもわからないから、確定的に職務代理になったという意識はないし、そういう指定を受けたという意識も流動的、揺れ動いていたんだというふうな事実関係しか私には読めないんですよ。

 それで、それに符節を合わせたかのごとく、四月三日付で人事異動が発令をされている、それが官報に載ったのは四月五日だ、そうであればそれなりの説明はつくんですよ。そうでしょう。だって、今までのどの例を見ても、内閣総理大臣臨時代理の辞令が出て、例えば海外へ行かれるときには、行かれる前に辞令が出て、海外へ飛び立った瞬間に、そこから臨時代理としての職務が始まるんでしょう。だから「予め指定」なんじゃないですか。

 だから、本件の場合は「予め指定」はなくて、四月三日午前九時に、指定と就職開始といいましょうか、職務執行開始が同時期だったという解釈のもとにこういう官報がつくられているんじゃないんですか。今おっしゃられたのだと、官報と食い違いますよ、官報がうそだという話になる。

○青木国務大臣 私が申し上げているのは、法的に正式に就任したのは、三日の十一時の記者会見で申し上げたように、午前九時でございます。

 この指定を受けたか受けないかということは、議員と私と多少違っておりまして、私は七時に総理にお会いした時点に、いろいろなことがあれば任すと言われたことを「指定」と、議員の今のお言葉ですと、恐らくこれが「指定」に当たると思います。

 それから、七時から朝の九時まで私が就任しなかったのは、再三申し上げておりますけれども、総理の病状がまだ不確定である、二、三日すれば総理がもとの体に返られて政権に復帰されるということを私は非常に強く望んでおりましたので、真夜中でもあるし、私は法的な就任は次の日の朝にやったわけでありますけれども、その間においても、既に指定は受けておりましたので、それを、いつでも緊急の場合があれば就任をして事態に対応する用意をしておったというのが私の考えでございます。

○仙谷委員 いいですか、あなたのおっしゃったような、内閣総理大臣の行政行為で、何かあったらよろしく頼むなんという言い方が、この内閣法九条の規定に基づく確定的な行為の臨時代理の指定と読みかえられるんですか。こんなでたらめな行政行為というのはないですよ。今までも、かつてなかったし、これからもあり得てはならないことですよ。どうですか、これは。そのために日にちまで刻した官報に告示するんじゃないんですか。官房長官、だめですよ、そういういいかげんな、ゆるがせにするような、何でもありみたいな話じゃだめなんですよ、法律というのは。だから官報に告示するんでしょう。

 だから、官報に告示したのが四月三日になっているのは、確定的にそういうふうに解釈できるのはこのときだと、それが正しいかどうかまた後でやりますけれども。どうですか。

○阪田政府参考人 官報が四月三日付になっているという経緯はちょっと、内閣官房にまた確認をしてみたいと思いますけれども、官房長官が、今お話がありましたように四月三日の午前九時に就任された、職務を開始されたということをたしか発表されたと思いますので、それを受けての措置であろうかというふうに思っております。

 それから、何かあればよろしく頼むという意思表示の件でありますけれども、これは昨日予算委員会において私ども、長官からもお答えをしておるところでありますけれども、一般的に、法律行為といいますか意思表示の効力というのは、意思表示者が現に発した具体的な言葉だけではなくて、その行為が行われた、意思表示が行われた客観的な状況であるとか、あるいは意思表示者と相手方との関係であるといったようなことを総合的に判断して定められるということでありまして、何かあればよろしく頼むとだけ述べられた場合においても、その意思表示の行われた客観的状況等に照らして、その意味内容が双方に明確であれば有効なものであるというふうに理解しておりますし、その意味内容を最も正確に知り得る立場にあるのは両当事者であるというふうに解しております。

○仙谷委員 当事者の解釈にそんなことを任せたり、あなたみたいに、意思表示の解釈を、民法の意思表示の解釈のように真意の状況を勘案しながら考えるなんという、そういう一義的じゃない解釈が行政法の世界で行われるとなったら大変なことですよ。権力の恣意的乱用を許すということになるじゃないですか。だから確定的に辞令というものがあるんでしょう。処分ということはちゃんと確定的に書くんでしょう。そのぐらいは法律学のイロハじゃないですか。

 例えば、では話題を変えますけれども、この指定は条件つきなんですか、条件つきじゃないんですか。官房長官は、一回目の記者会見では、検査結果によればおまえが内閣総理大臣臨時代理をやれと言われたということを言った。そもそも、検査結果によればという条件がついているような、こういう指定行為というのはあるんですか。そしてこれは、そんなことを言われておりませんと撤回された。今度、万事よろしく頼むだ。もう一つ抽象性の階段を上っていますよ。こんな抽象的な話が何で行政行為になるんですか。

○青木国務大臣 議員は今、私が訂正をしたということをおっしゃいますが、私は、気持ちの上で何ら訂正はいたしておりません。

 私が申し上げたのは、万事よろしく頼むというその時点での総理のお話を受けて、私は、万一のときには、それは内閣総理大臣臨時代理をせよという意思である、そういうふうに受けとめておりましたので、そのことを表現しただけでございまして、ここのところは見解が非常に違うんですが、私が総理にお会いをしたときに指示を受けたという判断を私はしっかりといたしております。

 議員の場合は、それが指示を受けたことになららぬじゃないか、一対一じゃないか、おまえしか何にも知らぬじゃないかとおっしゃいますけれども、病人を目の前にしていろいろな人、証人を立てたり、病状がわからない時点で、そういうことは人道的にもできることじゃありません。

 しかも、総理と官房長官というのは一心同体であります。ですから、二人で話したことがすべてである。それは私の判断で、後をよろしく頼むと言われたことを、臨時代理も含めて私が解釈するのは、これは当然のことだと私は考えております。

○仙谷委員 その明確でなければならないというのは、これは私の法解釈によれば自明の前提なんですが、そこは、では問題としておきましょう。

 では、何かあればとか万一のときにはと、よくおっしゃいますね。どういう事態を指しているんですか。

○青木国務大臣 万一のときというのは、その後、総理の病状が変わって、総理が自分の意識で国政を担当することができない状態に陥った、それを万一のとき、私はそういうふうに解釈をいたしております。

 

○仙谷委員 それは、職務執行上、執行の条件といいましょうか要件であると同時に、大臣のおっしゃる万一のときは、実は内閣の総辞職でもあるのですよね、総辞職でも。欠けたるときはというふうにこの間からおっしゃっていますよね。欠けたと同視される状態になったときは総辞職ですよね、これは。

 だから、臨時代理があらかじめ指定されていないときは、職務代理をするまでもなく、これはもう総辞職、自動的総辞職になってしまうわけですね、憲法上の規定から。いや、欠けたときは総辞職ですよ。だって、そうでしょう。それで、万一のときはというのは、欠けたと同視すべき状況だ、こういうことになっているんじゃないですか。どうですか。

○青木国務大臣 私もその点の詳しい法的なことはわかりませんが、私は、七時にお会いをし、その後、総理の病状が非常に急変をしたということを聞きまして、直ちにいろいろな問題が法的にあるだろう、私が対応する上で法的に間違いがあってはいかぬと思いましたので、その時点で古川官房副長官に指示をいたしまして、こういう事態が起きたときにはどういう対応をすべきか、しかも対応によって法的に間違いがないかどうか、そういうことをよく調べさせた上で今度の行動をとったわけでございます。

○仙谷委員 それでは、この点についてはもう一点だけ確認しておきます。

 これは四月三日に指定がなされたような官報が出ていますよね。そうすると、四月三日の段階においては、内閣総理大臣小渕恵三さんは既に何らかの行政的な行為をすることのできる状態ではなかった。つまり、前夜の九時五十分から昏睡状態に入っている、こういうことをおっしゃっているわけですから、この三日の段階では、こういう行為をすることはできる状態になかった、これは御確認いただけますか。

○青木国務大臣 私も詳しい、いわゆる専門的なことはよくわかりませんが、私は、直ちに総理として国務にすぐに従事できない状態だな、そういう判断のもとに臨時代理に就任をいたしたわけでございまして、これが第一段階でございます。

 今の総辞職の問題は、これは正式に欠けたときという認定がなければ総辞職ができませんので、その総辞職に至るまでの経過は、私も病院に参りまして、医師団ともきっちりした話をして、総理が欠けたときという認定をはっきりさせた上でその後の総辞職に至っておるわけでございます。

○仙谷委員 私が聞いているのは、職務を始められた、その話を聞いているのじゃないのですよ。四月三日に指定行為があったということを官報に書いてあるけれども、四月三日には、小渕総理大臣は、あなたを内閣総理大臣臨時代理にあらかじめ指定をするという内閣法九条に基づく行為ができるような状態ではなかったですよねと、そこだけ確認してください、事実を。どうですか。

○青木国務大臣 私もよく専門的なことはわかりませんが、私は、七時の時点で総理からよろしく頼むと言われたことは、自分に万一のことがあったときには総理大臣臨時代理をせよということであるという受け取り方をした上で、その後の行動をとったわけでございます。

○仙谷委員 それは、青木さんのお答えを善意に解釈しても四月二日の話ですよね。だから、三日はもう既に、そんなこともおっしゃれる状態でもなければ考えられる状態でもなければ、青木さんに直接会ってそのことを言うとかだれかを介して言うとかすることのできる状態でもなかったでしょうということを、事実として確認してくださいと言っているのです。

○青木国務大臣 二日に私と総理が会った後、私が帰ったのが八時過ぎでございます。その後急変して、総理は集中治療室にお入りになっておりますので、議員おっしゃるとおり、私と総理とが直接話し合ったり連絡するようなことは既にその時点で不可能であった。それだけは私も承知をいたしております。

○仙谷委員 そうすると、この官報の記載は間違いだということになりますよ。もっともらしく官報に告示したって、でたらめになるじゃないですか。ということは、もっと言えば、内閣官房でも、青木さんがおっしゃっている四月二日の万が一のときはよろしく頼むとかそういうのは行政行為と見ていないから、こういうふうに記載しているのじゃないですか、反対に言えば。

 それで、議論を変えます、話題を変えます。

 森さんの発言が百八十度一日のうちにぶれて変わられた。これがまた国民の不信を呼んでいるのですね。この点について官房長官の御記憶を聞きますので、お答えください。

 まず、二日の記者会見の前に、森さんと官房長官がお会いをなさって、そして前総理大臣の病状について話した記憶はあるのでしょうか。それで、その場は森さんと一対一だったのでしょうか。どうでしょうか。

○青木国務大臣 私も再三答弁をいたしておりますように、あの日は前日に、議員も御承知のように、自自公三党が事実上解消をいたしまして、二日の日曜日はみんながそろっていろいろなその後の対策を全力を挙げて取り組んでおられた日でございます。私は、十二時前後の時点で皆さんと一緒にお会いをしたことは事実でありますが、その後はいろいろな方がいろいろな動きをしておられまして、その動きの中で私のところへ来られたときには、現在病状はこういうふうですよということを話したこともあると思うし、またその後、総理はどうだと言って来られた人もあるだろうし、私も一々だれと何時にお会いをしてどういう発言をしたかということは正確には覚えておりません。

 ただ、予算委員会において森総理が、これは本人自身が間違いであるということを訂正されましたが、それはおたくの党の代表の質問の中で、私がいかにも総理をだまして臨時代理に就任をした、いわば天一坊みたいなものじゃないかというような、非常にこれは私は不謹慎な発言だと思っておりますが、そういう発言を繰り返しされました。

 総理としては、私をかばう意味で、そんなことはありませんよ、官房長官の就任のときにいろいろ頼んだけれども本人はなかなかうんと言わなかった、そういう立場の者が、いわゆる臨時代理に自分から、総理をだましたりしてなるようなことはないじゃないですかということを、総理は私をかばう意味で言おうとしておっしゃった発言が、今の臨時代理のことと結びついたわけでございまして、あとは総理が訂正されたとおりでございます。

 

○仙谷委員 菅政調会長が質問した中に、官房長官が総理をだましたなんということは全然言っていないですよ。言っているとすれば、国民をだましてという話ですよ、天一坊というのは。そうでしょう。

 それで、このくだりを改めて速記録を拝見しますと、官房長官がおっしゃるような、そんな単純な話じゃないですよ、これは。我々のように、証言をどう聞くか、どう読むかということを仕事にしてきた人間でなくても、いわば素人さんでも、青木官房長官をかばうためであったとしても、これだけの迫真性のあるリアルな話を、これが全部間違いだったとかでっち上げだったとかうそだったとか、そうはいきません、これだけの答弁は。

 いいですか。もう一遍読んでみましょうか。

 「そういう立場の中で、」そういう立場というのは官房長官ですね、「青木さん、従来の経緯からいえば、総理は必ず外遊のときはあなたにお任せをされた、そういう意味から、ここはあなたがしばらくきちっとそこを受けて、」つまり、総理の穴があいている、日本国内に、総理の席にだれも座っていない。それを受けて、「後のことを大切にされた方がいいですよと申し上げたときに、彼はかたく固辞しました。」こういうくだりなんですよ。

 これはまさか、内閣改造の、官房長官のいすがどうのこうのという話とは全然違います。外遊のときに今までもずっと総理はあなたに臨時代理を命じてきたじゃないか、だから今度も臨時代理はあなたがやるのがふさわしいよと私が申し上げた、私の方から勧めたんだ、そして青木さんがそれをかたく固辞されたというくだりなんですよ。

 それは当然のことのように、菅政調会長が言った、私もさっきから、あらかじめの臨時代理への指定なんというのは法律上ないんじゃないかということを申し上げておる、菅政調会長もその観点からお伺いした。

 つまり、これは臨時代理の話なんですよ、テーマが。それについて、わざわざ、外遊のときずっとやってきたじゃないかという、それはまさに臨時代理の話ですよ。話はつながっているんです、こっちの方が。ところがあなたが固辞したということをおっしゃっている。それも多分そのとおり、事実ではないかという気もするんでありまして、これは森さんのおっしゃっていることの方が迫真性がある、リアリスティックだと私は思います。

 こういう発言はなかったんですか、どうですか。

○青木国務大臣 たとえ総理の発言であろうとも、私が聞いていないことは聞いていないということでございます。

 ただ、私も当日同じ席におりましたので、総理は何でこんな間違った発言をされるのかなと思ったんです。それで、僕はすぐその後総理へ、総理、それはちょっと違うんじゃないと言ったら、いや、おれもそう思う、ついあんたをかばおうと思ってということでありまして、私は、事実そういうことはありませんので、これはだれにどうと言われようと、ないことは、私が総理の発言に合わせて、それはそうでしたと言うわけにいきません。

○仙谷委員 続いて、「天一坊とまでおっしゃって、」、森さんがですよ、「再三再四、何度申し上げても、自分は嫌だとお断りになっておられたということも事実として申し上げておきます。」こう言っているんですよ。再三再四勧めたと、臨時代理になれというのを。ところがあなたが、自分は嫌だと、再三再四、何度申し上げてもあなたがお断りになった。では、この事実もないんですか。

○青木国務大臣 それは官房長官就任のときのことでありまして、そういう事実はありません。

 なぜそういう事実がないかといいますと、七時に総理と話した後で私はそういう決意をいたしておりましたので、十一時の記者会見の前にそのことを宮澤大蔵大臣にも電話をし、これはほかの閣僚に私は一本の電話も、当日から次の日にかけてやっておりません。再三お答えいたしておりますように、総理をやられた大先輩であり、当然私が事前に連絡をとって御了解をいただくことが礼儀だと思って、宮澤大蔵大臣にだけは電話をいたしました。

 ですから、私はその時点で、臨時代理はおまえがすべきだとか、いや、すべきではないだとか、そういう議論は一切いたしておりません。

○仙谷委員 では、話を変えますが、その時点で官房長官就任の話はあったんですか、四月二日の時点で。

○青木国務大臣 そういう話はありません。私が総理から官房長官就任の要請を受けたのは、総理が自民党の総会において自民党総裁に就任され、総理に就任されることがはっきりした時点からでございます。

 私、今でも覚えておりますが、総理が官房長官に就任をしてくれと言われ、私が断りながらいる最中に衆議院の首班指名の本会議のベルが鳴りまして、総理も、ベルが鳴ったからもう行かなければいかぬが、それはもう一回頼むから後の話にしようやと言って、総理と私と、総裁室で二人で会ったんですが、ベルが鳴った時点で別れたことを今も覚えております。

 ただ、総理の発言から議員が今おっしゃったようなとり方をなさるのは、私も十分理解ができますが、事実と反していることは、私もあくまでも私の考えで申し上げるしかございません。

○植竹委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

○植竹委員長 速記を起こしてください。仙谷君。

○仙谷委員 そうすると、要するに、四月二日じゃなくて、いつの話ですか。四月五日ですか、官房長官、要請されて断ったという話は。

○青木国務大臣 いわゆる官房長官就任をするかしないかという問題は、これは森現総理と私との個人的な問題でございますので、私も一々その内容について申し上げることは差し控えたいと思いますが、少なくとも、二日や三日の話ではございません。

○仙谷委員 いやいや、だから、内閣総理大臣に衆議院で選ばれたのが五日だから聞いておるんですよ、その後でしょうと。当然、内閣を組織するのはその後ですからね。当然その後でしょうと聞いている。

 そうしますと、二日も三日もたった後の話とその前段階の話を森さんが混同しておる。混乱し、混同していると。それで、私から言えば、ここでおっしゃっていることは、森さんがいかに口がうまいのか知らぬけれども、こんなものは、講釈師見てきたようなうそを言いという話そのものじゃないですか、もしあなたがおっしゃるとおりであれば。総理大臣の言をあなたの方でそういうふうにひっくり返すと、総理大臣そのものの言動が講釈師の言動みたいになってしまいますよ、そうじゃないですか。

○青木国務大臣 私が総理大臣の言動をひっくり返したんじゃなくて、総理自身が間違いであったことを気がつかれ、総理自身の口から、この発言は自分の間違いであったという発言をなさっているわけでございます。

 それから、つけ加えて申し上げますと、再三申し上げておりますように、その日は自自公連立が事実上壊れた翌日でありますので、みんながそのことで一生懸命になっておった、その上に総理が入院をした、いろいろなことが全部かみ合っておりましたので、皆さんは、全部が過ぎた時点でそれを振り返ってみて、いろいろなアナウンスをしておられます。本当に、私が考えられないようなアナウンスも、いろいろなことをしておられます。

 そういうことで、すべてが混乱して、いろいろな誤解を生じていることは私も非常に残念だと思っておりますが、私が今まで議員のお問いに対して答えている、これが本当の真実でございます。

 

○仙谷委員 いや、だけれども、官房長官がおっしゃっているのは否定されておるだけであって、この森総理の予算委員会での答弁の迫真性には全く太刀打ちできていませんよ。こちらの方がずっとリアルですよ。信憑性がありますよ。いいですね。

 あくまでもそういうふうに否定されるのは、やはり私が言っているように、官報に記載されているように、四月三日までは代理をつくろうかどうか迷っていた、そういうことだったんじゃないんですか。それで、当然のことながら、四月二日の段階では、あなたが臨時代理の指定を受けたという意識もなかったんじゃないんですか。

 これは、森さんと話をする前に内閣の中で話すべきことを、全く内閣の中では、あなたが臨時代理に就任するという記者会見の後の臨時閣議まで、全く閣僚と話していない。それで党の方とは話している。そのときに、臨時代理をやるべきだやるべきでないとかという話が党の幹事長との話であったとかないとかということを、総理大臣が言われる。非常にこの辺は、政府と内閣は一体だというものの、つけなきゃいかぬけじめがついていない。そしてまた、なぜあなたがこの時点で就任をされたというふうに言われるのか、それももう一つはっきりしない。

 つまり、ここだけ確認しますが、総辞職をされる前の段階では、医師団とお会いして、ちゃんと小渕さん御本人のそのときの能力の現状について問いただしていますよね。その行為は、あなたがお見舞いに二日の夜の七時に行かれて帰ってきてから次の日に記者会見するまでに、それと同種の行為はしていませんよね。お医者さんからは一切話を聞いていませんよね。どうですか。

○青木国務大臣 私が七時に総理にお会いをしてから、次の日の十一時の記者会見で九時に臨時代理に就任をしたということをはっきりさせる、その間の時間のいろいろな行為についてのお尋ねでございます。

 私の気持ちにあったのは、総理の病状がはっきりしない中で私がこれを各閣僚に連絡すれば、十数人の閣僚の皆さんに、真夜中でありますから、いろいろな誤解が生じたり、いろいろな混乱が起きることも想像されますし、また、夜中に私が記者会見をすれば、恐らく、国内はもとより、対外的にも大変な騒動になると思います。病状のわからない時点でそういうことをすることによって、何日かたって総理がもとの体に、回復がはっきりした場合に、果たして総理としてそのまま職務にとどまることができるかどうか、そういうふうなことも私としては当然考えてやった行為でございます。

 皆さんは、結果が出た時点で、総理がそういう状態が今でも続いている状態を前提にしておっしゃいますからいろいろなことが言えると思いますけれども、私が考えたのは、もう一回、総理が全快してくれて、このまま総理の座に、そのまま国政を担当してくれることを官房長官として願っておりましたので、真夜中のいろいろな行動や皆さんに対する連絡はしなかった、そういうことでございます。

○仙谷委員 事情が変わったことを確認しないで臨時代理に就任するということをされたということになるわけですね。その前の七時に会われたときの医師団の方から聞いた中身というのが、もう一つはっきりしない。そして、その時点で、小渕さんが果たして万事君に任せると言える状態だったのかどうか。ここが核心ですよね、僕がさっき申し上げたように。

 この点についてはどうですか。お医者さんの記者会見を開くとか、ちゃんとした文書の回答を寄せさせるとか、そこをはっきりさせないと、官房長官、やはり僕は官房長官が一生懸命なさればなさるほど変なところに入っていくんじゃないか、そういう心配をして申し上げているんですよ。ここだけはクリアにした方がいい。けじめをつけた方がいい。

○青木国務大臣 確かに議員のおっしゃること、私もよくわかります。私も医師団に一回は、私は十一時と四時に記者会見しなきゃいけませんから、医師団としても病状がわかれば発表していただけますかということを、私、直接聞きました。しかし、医師団がおっしゃるのは、一刻一刻病状が変わっていく中で、いろいろなまた誤解も生ずることもあるし、それには基本的に、本人がこういう状態にあり、家族も本当に寝食忘れて看病を続けておられる中で、やはり家族の了解を得ないことには、一々変わっていく病状について医師団として発表することができません、そういうことでございました。

 私は、医師団の家族に対するそういう思いやりからされた判断、そういうものを現状においてはまだ守るべきだ、いずれ将来において医師団がどういう態度をとられるか、これは私が現状においてとやかく言うべきことじゃない、そういうふうに理解をいたしております。

○仙谷委員 これは……

○植竹委員長 お約束の時間を……

○仙谷委員 最後に、終わりますから。いいですか。

 これ、一遍は依頼されたことがある、要請されたことがあると言うんであれば、これは国会の権威にかけて、あるいは内閣の名誉のためにも、ぜひ、文書で取り寄せるなり、あるいは診断書を出させるなり、これをひとつやってください。委員長もやってください。

○植竹委員長 ただいま時間も参りましたので、今仙谷君の御要望につきましては、後刻理事会でまた検討いたして善処したいと思います。

 なお、ここで委員長から一言申し上げますが、本日は、地方分権推進法の一部を改正する法律案を案件としておりますので、この法案に関係する御質問をお願いするよう委員長からお願い申し上げます。

 次に、瀬古由起子君。