2000年04月14日 大蔵委員会

○金子委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。仙谷由人君。

○仙谷委員 預金保険法の一部を改正する法律案について主として質問をいたします。

 法律の中身が問題になるわけでありますが、抽象論でやってもしようがありませんので、格好の材料は日本長期信用銀行でございますから、日本長期信用銀行の三月一日譲渡、これに至る経過あるいは再生委員会の作業等々をお伺いいたしたいと思います。

 まず、いわゆる長銀をリップルウッドに譲渡する前提として、適債権、不適債権、あるいは適資産、不適資産というのでしょうか、これを仕分けをするといいましょうか、なさったわけでありますが、このうち、適債権というふうに仕分けたものの中で、貸倒引当金を二〇%を超えて引き当て計上したものというのはあるのでしょうか。もしあるとすれば、その件数と債権の総額をお答えいただきたいと思います。

○谷垣国務大臣 長銀で適と判定いたしましたものの中で、引当金を積んだのが約九千億でございます。今二〇%以上とおっしゃいましたが、その細部については発表いたしておりません。

○仙谷委員 発表されたらどうかなと思うのです。

 私、個別の固有名詞を挙げて発表せよということを申し上げておるわけではないのですね。貸倒引当金が九千二十八億、二〇〇〇年の二月二十九日付の貸借対照表を拝見しますとそうなっておりますから、そのうち、いわゆる一般の貸倒引当金と個別の貸倒引当金というのが当然のことながらあろうかと思うのですね。九千億の内訳を明示していただきたいと思いますし、さらに、その件数はどのぐらいだったのかということであります。

 さらに重ねて、個別債権のうち、一番引き当てた率が多い債権は何%ぐらい引き当てておるのでしょうか。

○谷垣国務大臣 先ほど約九千億と申しましたが、その内訳につきましては、現在民間銀行となっております長銀の経営の中身に関してまいりますので、御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

 後段の引き当て、今おっしゃったのは……(仙谷委員「引き当て率の高いものは何か、何%だったか」と呼ぶ)高いものは何かということでございますね。これは、正常先、要注意先及び要管理先につきましては、過去の貸し倒れ実績率等に基づいて算出された引き当て率に基づく引き当てが行われているわけでありますが、破綻懸念先につきましては、債権額のうち、担保などでカバーされていない部分の七〇%の引き当てを積む。

 それから、あと例外的なのでございますが、実質破綻先及び破綻先につきましては、債権額のうち、担保等でカバーされていない部分の一〇〇%の引き当てがなされているものがございます。これは、更生債権であるとか、そういう法的な整理の枠組みの中にあります共益債権でありますとか、そういったようなものは例外的に一〇〇%の引き当てがなされているものがございます。

○仙谷委員 今一〇〇%の話が出ましたが、今のは、七五%を引き当てた、一〇〇%を引き当てたというふうな資産が適資産の中に入っているというお話ですか。

○谷垣国務大臣 今七五%とおっしゃったのは七〇%でございます、それから一〇〇%、いずれも適の中に入っているということでございますが、一〇〇%については、先ほども申し上げたような法的整理に入っているようなものの中の更生債権であるとか共益債権であるとか、そういった例外的なものでございます。

 いずれにせよ、こういった引当金は、金融検査マニュアルであるとかあるいは公認会計士協会の実務指針によりまして判断をしているものでありまして、無用の引き当てを行っているという性格のものではございません。

○仙谷委員 無用の引き当てを行っているという結論を申し上げようと思っているのではなくて、常識的に考えて、なぜそんな引き当てをしている資産が適資産になるのか。もしそういう資産が適資産になるとすれば、適資産とされないでRCC送りになったというか、不適資産にされたものとの基準をどうとるのか、この辺が大変な大問題になってくると思うのですね。私は、常識的に考えて、適資産である限り、まさか二〇%、二五%を超えた引き当てをするものがあるというのは、少なくとも私の常識では考えられない。

 この問題はもうちょっと具体論に入ってからお聞きするわけですが、では、適債権としたもののうち、二〇〇〇年二月二十九日以前に債権放棄を長銀もしくは他の金融機関に要請をしておった債務者というのはどのぐらいあるのか、そしてその総額はどのぐらいなのか、これをお答えいただきたいと思います。

 さらに、二〇〇〇年三月一日以降、つまりリップルウッドとの本契約を結んだ以降、債権放棄を要請してきた、そういう債務者がいるのかいないのか。いるとすれば、その件数、つまり債務者の数と、そしてその債権放棄の要請総額、その総額が資産に占める、つまり債権に占める割合、これをお答えいただきたいと思います。

○森政府参考人 お答え申し上げます。

 適資産というもので限って債権放棄を認めた例、及び日長銀が特別公的管理から出た後でどうなっているかというお尋ねかと思いますけれども、特公管に入っている最中の長銀につきましては、まず公的整理の枠組みか私的整理の枠組みかでございますけれども、私的整理の枠組み、すなわち、単に債権放棄要請があって、協調金融団と相談の上、債権放棄をする、そうした例は一つもございません。また、当委員会としても、私的整理の枠組みで債権放棄を認めるわけにはいかないということを明らかにしております。

 一方、公的管理の最中に、法的制度の枠組み、特別清算とかあるいは更生計画とか、あるいは和議とか、そういう法的制度の枠組みの中で、長銀が適資産の中でそれを認めた例は三件ございまして、債権額は約四千八百億ぐらいでございまして、債権放棄額といいますか、カット額は四千三百億円でございます。

 なお、特別公的管理から出た後で、新生長銀になってからの債権放棄要請がどの程度あるか、あるいはそれにどう対応するかは、新生長銀の経営判断の問題でございまして、当方は承知しておりません。

○仙谷委員 もうちょっと端的にお答えいただきたいのですが。

 いいですか、適債権とあなた方が認定をした債務者の中で、ことしの二月二十九日までに長銀に債権放棄を要請した、長銀が認めようと認めまいと、そんなのは関係ないんですよ、債権放棄を要請してきた企業というのはなかったんですか、債務者というのはなかったんですか。

○谷垣国務大臣 長銀に対する債権放棄の要請はいろいろな程度のものがあったわけでございまして、打診程度のもの、あるいは口頭でなされるものと、態様もまちまちでございますので、どれだけ債権放棄要請に係る計数があったかということは、ちょっと申し上げることが難しいのでございます。

 いずれにせよ、先ほど事務局長が申し上げましたように、特別公的管理にある銀行について、債権放棄から生じた損失は公的資金で賄われるということになりますから、私的整理における債権放棄と特別公的管理はなじまないという方針で対応した、こういうことでございます。

○仙谷委員 私は、今の結論部分は、そんなことは当たり前の話で、税金で債権放棄を認めるなんということが許されるはずがない、それはそもそもの原則だと思うのですね。問題は、債権放棄を長銀にも要請するということは、他の銀行、主としてメーンバンクが中心になって、いわばメーンバンクが私的整理の債権者委員会の中心になって、そして債権放棄を要請している、こういうことなんですよね、基本的には。これは、谷垣大臣も弁護士さんですから、そのぐらいのことはわかっていると思います。

 そうだとすると、債権放棄を要請するような債務者に対する貸し金を適資産というふうに認定するということはいかがなものか、そんなことがあり得ていいのか。そうだとすると、一般庶民、市民からすれば、全部、銀行に債権放棄を要請して、それ以降銀行取引が続けられる、こういう話になるじゃないですか。そうじゃないですか。私は、そこに、庶民といいましょうか、ごく一個人としてお金を借りている人、中小企業として借りている人、それと大企業とで極めて恣意的な選別が行われている、何ゆえにそのようなことが行い得るのかというのが疑問で疑問でしようがないのですね。

 今の問題については、適資産にしたもののうち債権放棄を要請してきたものがあるかという私の問いですよ。一般論をやっているんじゃないのですよ。長銀に一般的に何件来たかという話じゃないですよ。適資産というふうにあなた方が仕分けをしているのに、これは私が持っているペーパーだと、昨年の二月十九日付の資産判定結果というのがありますよ。それ以前でもそれ以降でもいいんだけれども、債権放棄要請をするような債務者を適資産に認定をして、あまつさえ新生長銀にも適資産として送り込んだということになると、これは見やすい道理で、その次の問題は瑕疵担保を適用するかどうかという話になってくるじゃないですか。その瑕疵担保の問題は後で聞きますから、まずおっしゃってください。

○谷垣国務大臣 債権放棄の要請を受けて、しかし適と認めた、債権放棄の要請を受けた企業のその債権を適と認めたという例はあるようでございます。

 それで、それがどういう場合かと申しますと、特別公的管理下の銀行だけに債権放棄の要請をしているわけではなくて、ほかにもいろいろ債権放棄の要請をいたしまして、その結果その企業が立ち直って、それで適と認めた、こういう例があると聞いております。

○仙谷委員 立ち直る可能性があるのでいいんだったら、会社更生でも大丈夫ですよ。会社更生を申請した会社に対する貸し付けも適と認定したっていいんですよ、そういう理屈であれば。債権放棄を申請するということは、そもそも、もう金融取引の世界においては信用が一切なくなるということじゃないですか、現実に。国有長銀の債権だけが、その時点では放棄の要請に応じなかったから、それは劣化していないと。そういう認定が、債務者本人の信用にかかわる問題がそもそもあるのに、そういう判定をすること自身、私は、いかにも恣意的であるし、せっかくの金融再生法に基づく国有長銀の仕分けについて、何らかの政治的な判断といいましょうか、思惑といいましょうか、そういうのが働いたと言わざるを得ない。

 きょう、これは私が新聞紙上から拾っただけの「主な債権放棄計画」というペーパーを委員の皆さん方にもお配りしてあります。ごらんください。

 日貿信などという古いのもあります。なるべく固有名詞は読み上げないようにしますが、いいですか、この私がつくった一覧表以外にもあるのではないかと私は思っておりますが、これだけでも、これはほとんど長銀の融資先、債務者じゃないですか。

 ここに記載した分について、不適債権にしてRCC送りにしたものがあるかないか答えてください。

○谷垣国務大臣 ただいまの仙谷委員の御質問は個別の取引に関するものでございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。

○仙谷委員 私、個別のことを聞いていないですよ。いいですか。この中で不適債権にした部分があるとすれば件数を言えと言っているだけの話ですよ。個別の固有名詞を挙げろと言っていないですよ。

○谷垣国務大臣 今ここにお挙げになりましたけれども、先ほど申しましたようにいろいろな打診、それからいろいろな程度がございまして、この中からどうというのは実は非常にお答えがしにくい、ちょっと整理ができていないということでございます。

○仙谷委員 私、この種の資産査定を適不適を分けるときになさったということは極めて疑問に思うのですね。このほかにも、多分ノンバンク、非上場会社のノンバンク等々は、債権放棄の要請があったという部分が相当あるのではないかと思いますけれども、そのことを除くとしても、これは要するにゼネコンと商社、流通じゃないですか。長銀さんの上得意だった部分ですよ。

 この部分について、こんな巨額なものが一方で適債権にされて、国有長銀としては債権全額残されておるんだけれども、一方ではしかし、ほとんどそれが、何十%かは支払われる可能性がないという状況下で、しかし、不適にすると直ちに倒産等々にも結びつくから、ちょっと日延べして先送りしようよ、新生長銀で処理してもらえばいいじゃないかという思惑が働いたとすれば、これは金融再生法、あるいはこれからは危機対応何とか銀行になるようでありますが、この種の法の運用としては非常にでたらめになって、モラルハザードを大量に起こすのではないかということを考えるのですよ。

 これは破綻をした国有長銀の資産査定ですから、本来ならば人のことなんか構っていられないはずなんですよ。みずからがいかに悪い脂身を取り除いて、スリムな健全な体に立ち返るかというのが前提であるはずですよ。ところが、これもいいあれもいい、そういうやり方でやられておるんじゃないか。そういう手術をする、そのことなくしては日本の構造改革は、特に金融システムの改革はあり得ないという覚悟で六十兆というお金を決めたんじゃないですか。それは結果としてはどちらがお金がかかるかわかりませんよ、その時点では。しかし産業界全体、経済全体にとっては必ずその方がいいはずだ。もう十年も長く先送り先送り、そのうち土地が上がる、そのうち景気がよくなる、これで十年来たわけでしょう。私は、この適不適の判定が非常に後顧の憂いを残すということを申し上げたいと思います。

 さらにもう一つつけ加えると、大臣、これは適債権として新生長銀に引き継いだ分がありますよね。日にちの面から見てもわかりますよね、四月に要請が来たというのが。これは新聞記事の私の情報でありますが、そう書いてございます。

 この種のものについては、金融再生委員会あるいは国有長銀、あるいは預金保険機構もこれに絡んでおるのかもわかりませんけれども、承継すべき適債権というふうに認定したものが、契約を締結してたった一カ月で、金融界の常識では不適どころか整理会社である、破綻会社であるということが結果としてわかってしまった例が、少なくとも二例書いてあるでしょう。こういうのをごらんになって、単なる先延ばしはしてみたけれども結局はだめだった、ただ、国有長銀がとどめを刺さなかったから責任が逃れられるのだという程度の話だとすれば、これは非常にお寒い話だと思います。

 適債権にしたものが一カ月ぐらいで破綻してしまった、こういうケースについてどういうふうにお考えになりますか。

○谷垣国務大臣 まず仙谷委員が、資産判定において何らかの政治的な思惑があって本来不適とすべきものを適としたのではないか、最初そうおっしゃったわけでございますけれども、資産判定基準では、債務者の特殊事情、特許取得や保証などそういった特殊事情に基づいて将来の収益とか債務の履行を見込んできておりまして、これらが合理的なものと認められる場合には、これらの事情も考慮して判定するというふうにされておりまして、破綻懸念先以下の債務者であっても、例えば親会社等の保証がある、あるいは担保により与信全額がカバーされているといった条件を備えている債務者に対する債権については不適とはしないで適資産と判断している、こういうわけでございます。

 こういったものを不適としなかったのは、保証あるいは担保などによってその資産の回収が図られているということに加えまして、更生計画における例えば共益債権のように、特別公的管理銀行の貸し出しが当該債務者の経営再建に不可欠なものとなっている場合があることも配慮したということでございます。

 それから後段の方の御質問の、特別公的管理から民間銀行になってわずか一月余りの間に債権放棄を求めるというのは何事であるか、それこそ適不適の判別がきちっと行われていなかったのではないかというお問いかけでございます。

 確かに、私どもも、民間に移りましてわずかの間にそういうことが起こるということは残念なことだと思っておりますが、これは、実は適不適の資産判定をいたしましたのは一年前、十一年二月十九日だったと思いますが、一年前の資料に基づいて判断をした結果がこういうことになっている、こういうことでございます。

○仙谷委員 そういうことをおっしゃるのだったら、ではお伺いするわけですが、昨年の二月十九日に資産判定をした後に、今回譲渡されるについて改めて、私の言い方で言いますと修正バランスシートでありますが、再生委員会の出された資料によると予備的基準日貸借対照表とか、予備的基準日損益明細表とか、こういうのをせっかくおつくりになっているのに、この時点では、そうすると、売買の基準たる財産あるいはバランスシートの内容は正しい資産状況が表現されているのではなくて、一年前のものを基準にしてリップルウッドに十億円で売った、こういう話になるのじゃないですか、今の話は。

 正確な資産査定のもとに行われた会社といいますか有機体そのものを売る、多分こういう話だったと思うのですが、それはいかがですか。

○谷垣国務大臣 適不適の判定は、先ほど申しましたように、平成十一年の二月の段階の資料で判定しているわけです。ただ、引き当てをどう積むかという判断は十二年二月のクロージングの日を基準としてやって整理をいたしております。

○仙谷委員 この二月二十九日、三月一日以降に債権放棄を要請した会社の中に、長銀に対する債権放棄は、九〇%の債権放棄をせよという要請までした会社があるというじゃないですか。雑誌とか新聞記事を読むだけでも、要するに従来の決算が粉飾ではないかと言われておる部分があるじゃないですか。そういう会社を資産判定するについて、そんな今おっしゃられたような甘い話が、そして、そこに引当金を積んで承継すべき資産のうちに含めたなどということになってくると、もう何をか言わんやという話になるのじゃないですか。

 私は、今のお話を聞きますと、ますます資産査定、資産判定というものが、鉛筆をなめて適当にやったのではないか、あるいはこの会社は大きいから倒産させてしまっては困るから、あるいは国有長銀が引き金を引いてはまずいから、ちょっとまあこれは不適だけれども何とか適の方に入れて様子を見ようよ、そして、リップルウッドとの関係では瑕疵担保特約でもやっておけばいいや、こういう雰囲気が見えてくるのですよ。どうですか。

○谷垣国務大臣 昨年の二月を基準として判定したものがその後資産劣化したということは確かにあったのだろうと思います。しかし、仙谷委員のおっしゃっているように、そこは政治的配慮でいいかげんにやったというようなものではございませんで、先ほども申し上げましたように、いろいろな基準をもちましてきちっと認定しているということでございます。

○仙谷委員 依然としてこういう処理が行われるということについては、民主党の方からは、九〇年あるいは九二年以降の金融問題に絡んだあれやこれやの不祥事もありましたけれども、これについて国会が主導権を持った調査委員会をつくるべきだという提案を現在しております。その中でも、もう一度詳細にこれは検討、調査をしなければいけないと思っておるところでございます。

 譲渡後債権放棄を要請するような銀行については、これは当然リップルウッドとの契約書の中の瑕疵担保条項が適用されることになるんでしょうか。そして、その場合はどのぐらいの金額が新たな負担として国からリップルウッドあるいは新生長銀に払われるということになるのですか。

○谷垣国務大臣 債権放棄をした場合、これが今度の契約における瑕疵担保の瑕疵に当たるということは、確かにそのとおりだろうと思います。ただ、瑕疵担保契約で解除権が発生するかどうかということは、契約上二割の減価ということが決まっておりますので、その二割の減価に当たるかどうかということだろうと思うのです。

 実は、このことは、先ほど九〇%の、九割の債権放棄を要求しているというふうにおっしゃいましたけれども、どこの部分かということによってくると思うのです。つまり、担保によってカバーされている部分かそれとも全体なのか、そういうことによってこの二割の計算も変わってまいりますので、どれだけ要請があった場合にこの二割に当たるのかどうかという判断は、今の段階でやるのは非常に困難であろう、こう思います。

○仙谷委員 この契約書を拝見し、あるいはその契約書の中に記載されている「一九九九年二月の資産判定に使用された債務者区分を使用するものとする。」これをあわせて読めば、債権放棄の要請があったときにはほとんど無条件に解除理由に該当するじゃないですか。だからこそ、私は前回大蔵委員会でも、こんな瑕疵担保などという民法上の瑕疵担保責任とは全く違う概念をつくり上げて後々の負担をつくるべきじゃない、そういうことを申し上げたわけですよ。

 ところが、あたかもこれが特許を取れる発明であるかのごとく喜んでこんなものをつくってリップルウッドと契約してしまった。案の定、この放棄が既に二社続いているのですよ。この分については、いずれにしてもリップルウッドの方から解除権を行使されれば契約解除になって、債務者の、総額の債権元本プラス利息を国が払わなければいけない。こういう契約になっていたじゃないですか。そうなるんじゃないですか。

○谷垣国務大臣 仙谷委員に法律論争をするような愚かなことはしようとは思っておりません。

 先ほどの瑕疵担保の解除権の問題ですけれども、もう一度申し上げますが、金融再生委員会が適とした債務者が債権放棄の要請を行うような状況に立ち至っている、これは確かに瑕疵に該当すると判断されるわけです。しかし、二割以上の減価が生じているかどうかというのは個別債務者の状況によって異なってまいります。

 要するに、同一債務者に対する全貸し出し関連資産のその時点での現在価値、その時点での引当金控除後ベースの総額が当該資産の当初の価値、当初引当金控除後ベース総額に比して二割以上減価している、こういう条件がついておりますので、債権放棄があったからといって直ちに瑕疵担保責任上の解除権が生ずるとは必ずしも言えない、そこらは個別債務者の状況を見なければわからないということでございます。

○仙谷委員 そういう素人がわからない法律論なのか計算方法をおっしゃって逃れようとしても、そういうことを言えばだんだん個別の話に入っていかざるを得なくなってくるのです。全体として六二%の債権放棄を要請する会社が、それで長銀に対しては九〇%の債権放棄を要請する会社が、何で債権自体が二割減価しないなんという、そういうばかげた計算が出てくるのですか。余りそういうマニュアルをもてあそぶようなことを言われると、ますます不信感が募ってくるということだけを申し上げます。

 いずれにしても、この瑕疵担保責任というのをつけたために、私は、今度のこの基準日の貸借対照表を見ましても、どうも適債権という認定をして新生長銀に承継すべきものの約九千億のうち、貸倒引当金を積んでありますから、これは九千億とおっしゃった、これの約三分の二、六千億円ぐらいはこの種のものだろうというふうににらんでおるのですね。引当金が六千億だとすれば、今度は、引き当てた率で割ってやりますと、一兆円を超える適債権と言われたものを、これが適ではなくて瑕疵担保責任を追及されるということになるのではないか、大体こういう推論をしておるのです。

 そういう契約上の瑕疵担保責任を果たそうとして、国が補てんをするといいましょうか、返還請求に応じたときには、これは当然のことながら、国会に個別案件ごとに金額を報告していただけるのでしょうね。

○谷垣国務大臣 個別案件ごとに御報告をするというのはちょっと無理でございますが、これはそういうことをいたします場合には金融再生勘定に出てまいりますので、それは国会に御報告をする、こういうことであろうと思います。

○仙谷委員 だけれども、この種のものは、国会に報告するのはイニシャルとかイニシャルもつかないでぼっと報告をする、それも半年に一回ですから随分おくれて報告される、新聞では堂々と報道される、こういう話になるのですよ。私は、そんなことは、もうこの情報化社会といいましょうか、情報が飛び交う社会の中にあっては、あり得てはならないと思うわけであります。

 これは、こういう特別の、つまり世の中には相当異論のある、無理をした瑕疵担保という契約の特別の条項をつくったわけでありますから、そして、そこに当然のことながら税金分が何割か上乗せされて、リップルウッドがたった十億円で買い取った新生長銀に払われるということでありますから、これは国民負担がふえるということでありますので、ぜひ個別に報告をしていただきたいと思います。

 それから、ちょっと話題を変えますが、谷垣大臣に一言やはり聞いておかなければいけないのは、何か、住友信託銀行に合併をさせた方が安かった、再生法上の処理は高くついた、こうおっしゃいます。これは私も非常に高くついていると思いますね。

 その第一の原因は、金融監督庁の、あるいは金融監督庁になる以前の銀行局の検査がでたらめだったということが最大のものだと思うのですよ。一カ月ぐらいの検査の期間で二兆円も差額が出てくれば、これはたまりませんよ。

 そのほかに、金融再生委員会がもっと厳しく資産査定をやるのかと思ったら、さっきから申し上げているように、資産査定が非常に甘い。ここが第二番目。

 第三番目は、本来ならば支払うべきものでない劣後債、劣後ローンまで温かく支払ってしまった。何でこんな資本勘定に入るものが払われなければいけないのですか。それは、私が前回、柳沢大臣の時代にお聞きをして、柳沢さんも再度検討するというような話があったのですけれども、これはそもそも、この劣後債、劣後ローンというのは幾ら払ったのですか。

○谷垣国務大臣 劣後ローン、劣後債でございますが、特別公的管理開始以降、基準日までの間に、金融債は約四兆九千億円償還されました。それから、劣後ローンは約二百億円償還されたというふうに承知しております。

○仙谷委員 金融債の中の劣後債というのはどのぐらいですか。

○谷垣国務大臣 金融債だけです。

○仙谷委員 金融債の支払いについても、私どもは、こんなものまで負担をしようとするとそれは膨大になるのは当たり前だ、こういう議論をしてきたわけであります。つまり、預金の保護ではなくて、預金保険料を払っていない金融債に、そもそもなぜ払わなければいけないのかという理屈もあります。

 さらに、リスクをとって、投機とまでは言いませんけれども投資をした。つまり、ビジネスベースで投機をした部分について支払いをするというのは、まさにマーケットの自己責任原則を犯す、これは非常に奇妙な話だという批判をしてきました。私は、そういうことをなさるから処理費用が膨らむということを申し上げてきたわけであります。

 この種のやり方が、谷垣大臣、再生法三条六号の原則、つまり費用最小化原則との関係で、それを遵守できたとお考えですか。それとも、これは少々緩過ぎたかなというふうにお考えですか。どちらですか。

○谷垣国務大臣 劣後債、劣後ローンについて、仙谷委員が従前から批判をお持ちであるということは承知をしておりまして、柳沢再生委員長のときに、国会で御議論した後、検討するとおっしゃって、委員にお答えをする機会がなかったようでございますので、ちょっとそのあたりも申し上げたいと思うのです。

 長銀及び日債銀の劣後ローン契約におきまして、劣後特約というのは、破産宣告、それから会社更生手続開始の決定がなされ、かつ継続している場合というふうに劣後事由を限定して定めております。劣後事由が生じた場合には、劣後ローンに係る債権者には、債権カットなどの債権債務の清算手続が行われる過程の中で、弁済順位が劣後した形で元利金の支払い請求権が発生することになるわけであります。

 他方、特別公的管理の制度というのは、破綻金融機関に係る預金者等に対しまして、債権カットなどの債権者の負担を求めることなく、特別公的管理銀行の営業を継続させる中で不良資産の整理回収機構への売却などを行うとともに、必要な限度において資金援助を行って、健全な財務状況を有する銀行として受け皿金融機関等に円滑に引き継いでいこう、こういうものではないかと思うのです。

 それで、特別公的管理制度は、債権全般について、債権カットなどによる債権債務関係の清算手続を求める制度ではなくて、また、特別公的管理制度は、当該劣後ローン契約に限定列挙されている劣後事由に該当するものでもないわけでございますので、金融再生委員会として、劣後ローンを含むすべての負債について契約に従い保護するということを、その後議論して改めて確認をいたしたところでございます。

 こういう観点から、長銀及び日債銀に係る特別公的管理を公表しましたときの総理談話において、長銀あるいは日債銀の預金、金融債、インターバンク取引、それからデリバティブ取引等の負債は全額保護されて、期日どおり支障なく支払われることとなっているとの見解が示されているということでございます。

○仙谷委員 私は、幾ら考えても、おっしゃるように、破綻認定を受けて特別公的管理になったということが、会社更生やあるいはその他の法的な整理と同視すべき事柄であるというふうに考えるのは当然であって、今のような非常に拡大解釈、それも、これは契約条項ですから、法律ではなくて、そうだと思うのですよ。劣後ローンの設定契約の中で書かれておるものをあえてそういうふうに拡大して温かく読んであげたということにしかすぎない。私は、この点については、今の段階でも非常に不当なやり方だったなと思います。

 そのことと関連して、この預金保険法の改正案が出ておりまして、特別危機管理銀行というのがありますが、この場合にはどうなのですか。金融債も劣後債も劣後ローンも全部保護されるのですか。あるいは、これは支払うのですか。

○大野(功)政務次官 特別危機管理銀行というのは、破綻処理の問題でございます。そして、御存じのとおり、総理大臣が発議して、金融危機対応会議で決定するわけでございます。

 それで、いかなる決定になるのかはすべて金融危機対応会議でございますので、どこまで保護していくか、つまり、ペイオフコストの一千万超を保護するのか、それも含めてすべて対応会議の議を経る、こういう形になっております。

○仙谷委員 そんないいかげんな話ないですよ。今の時点でも問題になっているんですよ。特別危機管理銀行なるものが、マーケットに規律性を与えるためのペイオフを一切ないがしろにしようとしているのではないか、将来永久にペイオフなんかない、すべて国家が最終的には保護するんだ。一時的な話じゃないんですよ、恒久的な措置としてこの制度をつくろうとしているんでしょう。恒久的な制度をつくるときに、この場合は金融債を保護して、この場合は金融債を保護しない、そんなことがあり得ていいはずないじゃないですか。この銀行の場合にはここまで保護してあげるけれども、この銀行の場合にはここまで保護しないなんてことがあり得ていいはずないじゃないですか。性質が違うんですよ、預金と金融債なんというのは。劣後債はもっと違う。そんなことぐらい当たり前じゃないですか。

 もしあなたがおっしゃるようなことだったら、この法律は欠陥法律ですよ。

○宮澤国務大臣 それは、私は御質問の方向にもともと疑義がありますが、この制度そのものが何か非常に安易に適用されて、そしていつでもこういうことがあり得るようなお尋ね、その発想はちょっとこの法律の意図しているところではないと私は思います。こんなことがしょっちゅうあってはたまりません。

 しかし、それはそれとして、保護される範囲は今と同じです。今の制度と同じですから、同じ範囲で保護される。そのときそのときで変わるというふうには法律は考えていません。

○仙谷委員 いやいや、それじゃ、保護する範囲を決めたらどうですか、法律で今から。

 宮澤さんなんかは、こんなものいつでも使われたら困ると言うけれども、当たり前の話です。当たり前だけれども、制度というのは、いつでも使えるようにするのが制度ですよ。そして、金融再生法よりも、認定の、あるいは、この特別危機管理銀行にするその要件は広げているじゃないですか。そのことを我々が批判していることぐらい知っているでしょう。認定の要件を広げた上で保護される対象を限定しない。

 本来は、ペイオフで預金の一千万までは保護するけれども、それ以上は保護できない、そこから始まった話なんでしょう、これは全部。そうじゃないんですか。そして、システミックリスクを回避するためにどうするのかという次の大問題があった、だから金融再生法をつくったと。その当時、大蔵大臣は、こんな国有化なんかとんでもない話だ、随分反対されたじゃないですか。思想に合わないということもおっしゃった。

 それで、思想に合わないのはいいんだけれども、いずれにしてもその大蔵大臣が、今度この特別危機管理銀行ですか、こういうのを導入されたから、おかしいことをするな、所有権法理論をあれだけ信奉された宮澤大蔵大臣が国有化することにそれほど痛痒を感じなかったのかなと私は見ていましたよ。国有化して、どこまで面倒を見るのかという限定をつけないで、今度のこの長銀の、今私が指摘しているような処理のように、無限にとは言いませんが、ほとんど国民の税金でこれをカバーする、こんなことがどこまで続くと思っているのですか。

 そして、いつでもこんなものが適用されたらたまらないと今大臣はおっしゃったけれども、私は大臣とは少々経済の日本の状況についても考え方が違いまして、もっと危機感を持っています。だから、谷垣大臣が住友信託銀行と長銀が合併されれば安かったとおっしゃるけれども、これも非常に疑問です。合併だけで当時のシステミックリスクがおさまったか、それが一つです。それから、合併された新しい住友信託銀行か何かは現時点でうまくいっているか、そういう判断をしますと、より高くついた可能性があるのです。

 つまり、なぜそういうふうに言うかというと、先延ばしすればするほどコストが膨らむというのは、これは常識じゃないですか。天佑のように土地でも上がれば話は別ですよ。どうですか、あれからでも、二年たってもまだ土地は下がっているじゃないですか。それはそれ、土地が下がることについては、グローバルな経済の中での原因があるから下がるわけでしょう。そういう観点から考えますと、私は、日本の都銀も地銀もまだまだ安心はできない、いつの日か突如どこかの事業会社が九〇%の債権放棄を要請するような、それと似たようなことが金融機関でも必ず起こる、そのぐらい危機感を持っています。

 そういう危機感の中でこの新しい制度を、金融再生法の特別公的管理に似たものを預金保険法に入れ込むというのであれば、それは、マーケットの規律というものも考え、常々おっしゃっている自己責任原則というものも貫徹しなければ、本当に緩みっ放しのモラルハザード法になってしまいますよ。

 これは今からでも修正をして入れたらどうですか、保護する対象とそうじゃないのを。

○宮澤国務大臣 あえて発言いたしましたのは、谷垣大臣のその御発言についても私にもいろいろ感じることがございます。ございますが、これは、この二年以内の国会の御意思があって、行政がそれでやってきたことですから、長い日にちがたちましたら、また御議論があって、そのときは私どももいろいろ申し上げたいこともございますが、ただ、先ほどのように、金融債を保護したことまで、これはもともと反対だったというようなことをおっしゃいますと、それはまた議論が随分違ってくるんだろうと私は本当は思っています。しかし、これは今議論をすることは自重いたします。

 が、今の百二条について、何かこんなことがしょっちゅうあるようなお気持ちで、今の金融情勢はそういうものだという御判断なら、それは私どもはそう思っていない。こういうことはそうしょっちゅうあることではない。

 ただ、日本の憲法は、御承知のように、昔の緊急勅令というようなこともありませんし、非常事態について述べていることは少ないわけですから、金融について、あるときにはこういうことをいたさなければならないと思いますから、そのための授権をいただいておるということです。

○仙谷委員 宮澤大蔵大臣が憲法二十九条の解釈を少々変えられたということを確認できましたので。

 それはそれとしまして、ちょっと時間がございませんが、第一勧業銀行の問題をちょっとこれからも触れていきたいと思います。

 KG?サブというのが一で、十四番にICRJαLと書かれておるものがございます。第一勧業銀行が昨年の三月末日に資本注入を九千億受けた。再生委員会の決定によって、金融健全化法の規定に基づいて九千億の資本注入を一方で受けた。一方では、この決算期に九千億円強の不良債権償却をしております。

 それで、どうもこれは、それこそ庶民の、消費者の訴えから調べていってだんだんわかったんですが、ここにございます、こういう有限会社、これはいわば何とか一郎から何とか十三郎までみたいな話ですよ。こういう細分化された子会社、代表者はすべて一緒。本店の所在地も、有限会社は同じ、そして株式会社の分については、支店としてそこに所在する。こういうところに分割をして??分割をしてだろうと思うんですよ、バルクで債権償却、つまり売却をしたのではないかと疑われるんですね。ごらんのように、本店の部分はケイマンですよ。非常に重大な疑惑が浮かびます。

 第一勧業銀行は銀行協会の会長行でございますから、この種のやり方をすることがいいのか悪いのか。もちろん、昨日法務省に問い合わせをしましたら、この種の会社はサービサーとしての許可を受けていません。当然ですよね。こんな会社にどのぐらいの債権がまとめて売られたのかという点が一つ。

 これは、いわゆるサービサー法、この法律に照らして、資本注入を受けるような、銀行協会の会長行であるような銀行が行っていいような債権譲渡なのかどうか、まずそれが一つ。

 そして、実質的に債権回収を目的とする会社に譲渡することは、その会社の弁護士法違反行為を知ってやることになるのではないか、それが一番。さらには、その会社はどこかから資金を入れて買うのでしょうから、こういう細分化したやり方は株式会社の監査等に関する商法特例法に違反しないか、これが第二番目。三番目には、貸金業の規制に関する法律などとの関係はいかがになるのか、これをひとつお答えを願いたいと思います。

 私は、これを見ただけで、ああ、これは脱税のためのやり方だな、脱税のためにこんなことをやっている会社に第一勧銀ともあろう者がまとめ売りをしたんだな、こういうふうに思いました。いかがですか。

○金子委員長 時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

○村井政務次官 まず事実関係でございますけれども、一般論として申し上げますと、金融機関が不良債権の処理に当たりまして、バランスシートから落とすということで、SPCなどに一括していわゆるバルクセールをやる、これは、私どもとしましては、近時、いろいろなところで積極的に活用されているという認識を持っております。

 ただ、今委員御指摘のようなケース、これは私どもの承知しておりますところでは、モルガン・スタンレー・ディーン・ウィッターというのがございますが、これが、不良債権の証券化商品の投資家向けパンフレットの中で、御指摘のKGI等の名称を使ってやっておりますけれども、この外資系の金融機関が管理するSPC、そういうふうに記載されておりまして、そのことではないか、こんなふうに理解をしております。

 ただ、問題は、第一勧銀がどういう行動をとったかということになりますと、これは個別の金融機関の個別取引の問題でございますので、私どもとしましては具体的にコメントをさせていただく立場にはないということを申し上げざるを得ないと思います。

 それから、先ほどもおっしゃいました弁護士法の問題とか、あるいはサービサー法の問題、これはちょっと私どもの方でお答えできる問題でもございませんので、よろしくお願い申し上げます。

○金子委員長 今の後者の問題については、サービサー法とか、だれか答弁してください。??では、ちょっと理事で協議していただけますか。

 それでは、法務省房村司法法制調査部長。

○房村政府参考人 第一勧業銀行からの債権譲渡が弁護士法あるいはサービサー法に違反するかとのお尋ねでございますが、個別の事案でもあり、また具体的事実関係を承知していないこともありますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

○仙谷委員 時間が参りましたので、終わりますが、委員長の方に、これはまた理事の方からも言ってもらいますけれども、大蔵省あるいは法務省の方もお答えにくいのでしょうから、これは、第一勧業銀行の会長の杉田さんを参考人としてひとつ呼んでいただいて、この種のやり方がいいのか悪いのか、ここで審議をしていただきたいと思います。

 終わります。