日本と女性

花の会新年会にて

1999年1月16日(土)阿波観光ホテルにて       仙谷 由人 

 今、日本は大変な時代にさしかかっています。そして世間では金融の問題とか、経済成長が鈍ってきたこととか、成熟社会が抱える様々な問題が取り上げられています。その中でも、最大にして重要なことの一つに、少子高齢化というキーワードがございます。

 あと30〜40年経ちますと、働く人々と、お子さんや65歳以上の高齢者の比率が約10対8くらいになる(これは大変な状況です)といわれています。そのくらい子供の出生率が少ないということです。

 これはもちろん、これまでの日本の企業社会や、あるいは「それを支えるのは俺たちだけだ」と思ってきた男性の側に、責任があるわけです。男性が自分の社会的地位を、有能優秀な女性、あるいはやる気のある女性に譲ろうとしない…。そのことが未だに蔓延している。ある意味では社会常識の上でも、女性を粗末にしてきた咎科(とが)がいま日本に降りかかっている最大の災難(厄災といってもいいのかな)だと私は思っているわけです。

 そして、そのことは政治の面を見ていただければ一番分かるわけですが、先進国の中で日本ほど女性の政治家が少ないところはございません。いろんな理由がございますけれども、そういう事態でございます。

 ところが翻って考えてみますと、皆さん方もお気づきでありましょうが、このごろ国家試験のレベルでも何でも上から数えると殆ど最初の10番くらいは女性なんです。医師国家試験もそうですし、司法試験もそうです。その他の企業の入社試験とか、県庁の採用試験でも殆ど成績からだけかいうと女性の方が上位を占めている。これは、まごうことなき事実です。

 私たちの子供達の世代を見ましても、女性は非常にしっかりして、そして自分の考えと目標を持っている人が非常に多いように思います。そして、そういう女性が今、何を考えてどのようにしているのか、ということことは、海外へ行けばよくわかります。

 海外は日本人のしっかりした女性が元気はつらつと活躍しています。アジアのホテルに行って、私どもの前へさっと寄ってきて、説明をし、案内してくれるのは、英語とフランス語と中国語の出来る日本人の女性であります。

 彼女たちは、働く場所がない日本に簡単に見切りを付けて、アジアやヨーロッパに行っているわけです。今の日本の女性は、未だに男性上位の日本社会を捨てて海外へ進出しております。男性はといいますと、ウジウジと名誉や権力にしがみつき、日本から離れられないという様な、極端に言いますとそういう状況が生まれているわけです。

結婚のスタイル

 非常にアンモラルリッシュな話をしますと、ヨーロッパでは、たとえばイタリアの今度労働大臣になった女性は、労働大臣になった2ヶ月後に、お父さんが分からない(本人はわかってるんですよ)、世間では「結婚をしていない」そういう状態でお子さんを生みました。それでもイタリアではスキャンダルになりません(日本だと大スキャンダルです)。そんなことは当たり前の世界になっています。

 そのことが道徳的に良いか悪いかではなくて、ヨーロッパには社会の仕組みとして、そういう状態であっても子供さんを育てながらちゃんと働けるという仕組みがあります。

 日本も今、結婚をされた女性の出産率というのは昔と殆ど変わりません。だけど皆さんお気づきのように、なかなか女性が結婚しません。非婚率が非常に高いというのが今の日本です。

 従いまして、結婚をしないでも、あるいは届け出という形の結婚をしないでも子供さんを生んで、社会が我々の子供だということで、その子を育てる仕組みを持つかどうかというのが今の日本に問われているわけです。(選択的夫婦別姓などは当然の前提ということになります)

 そこまで考えないと、この少子化の問題、反対から言いますと女性に社会的に活動をしながら子供を産んでもらって、「男女が協力し合って育てて行く」ということが行われないかぎり「従来のスタイルにこだわっているようではこの問題は解決しない」というところにはいってしまっているのでしょう。

 そして日本は、感覚的にも、あるいはその能力を生かすということから考えても、あるいはもっと女性に働いていただいて、健康保険料や年金保険料を負担をしていただくという観点から考えましても、女性の力を、社会で発揮していただくと言うことを考えない限り、男性が「上から言われたからしゃあない」とか「となりがこうしているからしょうがない」という護送船団と横並びの文化の中で、これからまだ何かをしようと思っても、絶対にうまくいかないという風に言っても過言ではないと、私は思っております。 

 出口は必ずあります。日本人は勤勉でありますし、能力は非常に高い。そして、我々にも家族や友達や郷土を愛する気持ちがある。そういう誇り高い民族であるべきだと私は考えます。

 しかし、最近の日本の社会を眺めてみますと、少々上の方から腐っております。政治家や銀行経営者や、官僚を見てみるとわかると思いますが(私も、その一角を占めておりますから偉そうなことを言えませんけれども)、今これをお読みの皆さん方のようなまともな方々が、あきれて物が言えなくなる…。そういう状態だと思います。

 しかし、21世紀を目の前にして、私は日本と日本人というのは、まだまだ捨てたものではないと思っています。

 ちょっとしたきっかけがあり、皆さん方が前向きに「さあやろう!」というお気持ちになっていただければ、いままで「男は仕事、女は家事」などという、それが正しいとか絶対であるとかいうことではなく、それも一つの方法、

 他の生き方もある。という風になっていただければ、必ずこの国は、もっともっと世界にも貢献が出来るし、自らも誇りを持てる国にもなる…。そう確信をいたしております。