野党案衆議院通過!

小渕内閣の限界!政権交替 !?

 

1998年10月4日(日)徳島駅前ロータリーにて

街頭演説  仙谷由人

 実りの秋、風もさわやかになりました。ご無沙汰をいたしております。民主党の仙谷由人です。

 今日は朝から和歌山の事件で大変な報道合戦がなされております。真相はまだまだこれから調べが進んで行く中でわかってくるんだろうと思います。

 それにしても最近の日本のテレビ、新聞などマスコミは、一瞬のうちに大騒ぎをしすぎて、大事なことを忘れてしまう…、というよううな傾向にあるのではないかと思います。

 私も、心して様々な報道を、自分の目でしっかり確かめ、点検、確認をしながら、マスコミ報道の書いたり映したりしていることに、あまり極端に流されないようにしなければいけないなと、誓いをしているところです。

どこにある?金融問題解決が遅い理由

 金曜日(10月2日)臨時国会で、テーマ(課題)となっておりました金融に関する法律案が、衆議院をようやく通過しました。TV、新聞などマスコミは「国会は、もたもたしている…」あるいは「何をやっているのかわからない…」という様なことを言っていますが、国会は国会で、大変真剣かつ一生懸命に「今度の政府提案に意味があるのかないのか…」ということを含め、連日連夜議論をしております。

 日本の金融機関、とりわけ大きな銀行が、大変な危機状況にあるというようなときに「何でもかんでも、いいから早くやれ…」という議論は、成り立たないはずです。まして、これらの銀行のために、皆さん方の子供さんやお孫さんが長い年月かかって支払わなければならないような「巨額の税金を投入する…」ということが予想されているこの事態のなかで、「早くすればいい…」ということにはならないはずです。

 そして、こんどのように「政府が国会に出した法案自身が無茶苦茶で、出来が非常に悪い…」場合、われわれ民主党を中心とする野党が「こうしなければいけませんよ…」という法案を出して、その法案と政府提案の法案を比較し「どちらをとるのか、どのへんを直せばいいのか」という議論をする…。このことに少々時間がかかるのはやむを得ないわけです。 

 ところが、TV、新聞報道などマスコミは「いかにも遅い…」というようないいかたをしています。

本当の理由はここにある!

 遅いのは、政府、自民党が、バブル崩壊後6年も経っているのに、先延ばしと、その日暮しと、いわゆる公約詐欺というようなことをやってきたことに原因があり、夏休みの宿題や、冬休みの宿題のように前日になってあわてふためいて「なんでもいいから法案を作れ…」という話であってはならないはずです。

 ましてや、「何十兆円という税金が支払われる…生涯にわたって、これを返していかなければならない…」こういう法案を作るわけですから(スピードをあげてやらなければいけないことはまちがいありませんが…)政府提案を鵜呑みにするということはあってはならないことです。

銀行独自の潰れ方

 そこで、私たち民主党は、大きい銀行でも「財務内容が悪い」「経営内容が悪い」ところはこれはつぶれてもらわなければならない…。潰れてもらうほうが当たり前だ…。そういう考え方でやってきました。

 しかし、銀行というものは当然のことながら、皆さん方の預金を預かっています。あるいは、皆さん方個人や、大企業・中小企業にお金を貸したり、皆さん方のお金を預かった上で、電気代・ガス代・水道代からNHKの受信料まで、自動引き落しなど、決済をする役目も担っています。

 こういう銀行を普通の会社と同じような格好で、潰すということは、社会的な混乱が非常に大きくなります。

 したがいまして、銀行が潰れるときには、個々の銀行独自の潰れ方をしてもらわなくてはならないのです。

 今までは、戦後何十年間、大蔵省が指導して、潰れそうな銀行を吸収合併させてきました。比較的まともな銀行に吸収合併をさせてきた歴史が、今までの歴史です。

 しかし、そのやりかたが通用しない時代になってきています。「おかしくなった銀行は、潰して整理した方がいい…」こういう考え方が主流になってきています。

 皆さん方ご承知の兵庫銀行も、これまでの方法で、みどり銀行というのを作りましたが、うまくいかない…。今度は阪神銀行と合併させるということになっていますが、たぶんこれもうまくいかないでしょう。

 そういった経験をもとに「銀行をちゃんと管理をして、そして整理をする…清算する。いいところは、他に引き継いでもらう…」ということが、銀行の整理としてはいちばん重要なことだと私どもは考えています。

 今度の国会では民主党が中心になって、一時的に(2年ぐらい)国有化をし、国の信用で「お金を預けている人・借りてる人・そこで決済をしている人…」こういう人に対する迷惑が出来るだけ少ないような方法で、銀行を整理をして、いいところだけを取り出して、他の銀行に引き取ってもらう…「一時国有化・特別公的管理」という法案を作り、国会に提出しました。

小渕内閣の限界

 先般も、自民党の実務者の代表者と(私は民主党側の実務者の代表者として出ております)議論をしておりました。最終局面で「やはり今度は民主党さんのこの特別公的管理、一時国有化の法案に中身で負けた…中身で民主党の法案のほうがすぐれている…だから民主党の法案を自民党、政府が、丸呑みをしてそのまま受け入れて、この野党の法案(民主党の法案)をそのまま生かして、法案にする。ということをせざるをえなかった…これは当然である…しょうがない…」こういうふうに、述懐をされておりました。

 今度の法案では、自民党も「ブリッジバンク法案」というのを出したわけですが、この法案は、日本の大手銀行(都市銀行・長期信用銀行・信託銀行)が倒れるときに、まったく使いものにならないような中途半端な法案であることを、大蔵大臣も、日本銀行の総裁も認めざるをえなかった…。

 自民党はそういう法案しか国会へ出すことがきなかった。ここが、今の小渕内閣の、そして与党自民党の最大の問題であり、限界であります。

最近こんなお客さまが増えました

 今回、私どもが一時国有化法案を衆議院で通過させました。あと四〜五日あれば国会で成立いたします。そして10日経てばこの法律が効力を持ちます。したがいましてあと半月後には危ない銀行が出てきて、その銀行が潰れることによって世間に悪影響が大きく広がる時には、特別公的管理、一時国有化ということになります。

 この法案がこういう格好で成立をし、法律が出来る。ということが明らかになってきますと、日本の中心的な銀行のトップ、日本でいちばん大きい銀行の専務さん、二番目に大きな銀行の頭取さんなど、以前は私など見向きもしなかった方々が、私のところへ尋ねてくるようになりました。

 なぜ尋ねてくるのかといいますと、「特別公的管理・一時国有化ということをやれば、銀行経営者は自分の身を守るためにお金を貸さなくなる…貸し渋りをする…だからこれはやめてくれ…」そういうことを、言うためにやってくるのです。

 つまり、彼らは、銀行の経営内容が悪くなっても、財務内容(財産の内容)が悪くなっても、自分は責任を取りたくない、あるいは株主にも責任を取らせたくない…にもかかわらず皆さん方国民の税金だけは、なんとか無条件に投入をしてほしい…。この気持ち、この根性が治らないのです。

 銀行は絶えず「我々は公共的なものだ、皆さん方からお金を預かる…必ず返さなければいけない…」といいます。公共的存在であれば、お金が必要で、返す能力のある人には、貸し渋りや無茶苦茶な回収などをしないで、貸すのが公共的存在の使命であるはずです。

 ところが、そちらのほうでは公共的存在の意味を忘れ、国民の皆さん方の税金を自分が貰うときだけ、公共的存在を主張する。こんな馬鹿な話がどこにありますか!長銀の頭取の退職金の9億7千万円…こんなふざけた話がどこにありますか!この腐った根性は治っていないのです。

 今まで、バブルのときに不必要な資金をノンバンクを通じて、不動産やゼネコンにまわして、その分が今、不良債権になっているのです…。

ごまかし・隠蔽・業界の体質

 アメリカの調査機関によりますと、日本には、なんと150兆円不良債権があるといわれております。今まで、日本の大蔵省が言ってきたことは「不良債権は20兆円くらいで、そろそろ減っている…」ところがそれを言った半年後に「76兆円、実はありました…」それを言った1ヵ月後に「87兆円になっておりました…」と、こんなことを繰り返しているようなこの1〜2年であります。

 はっきりと、調べて、大手銀行の経営状態・財務内容が悪いというのなら、そのことを国民の前にちゃんと明らかにしなければなりません。そして、倒れる寸前であれば、国民にお願いをして「我々も責任をとりますから、銀行がなにもしないで倒産をしたときに、大変皆さんに迷惑をかける…だからどうか皆さん方の税金で助けてください…国の力で保護してください」と、こういわなければならないはずです。

 ところが、そうならない。銀行は、今だに自分の公共的存在を盾にとって、公的資金の投入を受けたい。しかし、責任は取りたくない。というところでまだ頑張っているのです。

あってはならない情報開示無き税金投入

 自民党、政府は「大手銀行の経営状態は悪くない。返済能力があるから税金を投入しても安全だ…」と言い続けてきました。

 しかし、考えてみてください。経営状態がいい銀行に国民の税金を投入しなければならないのですか?

 経営状態が悪くなった銀行が、国民の税金で、お助けをいただかないと社会に混乱をあたえる…。という時には、それなりの方法で混乱防止のために国民の税金も使わなければならないかもしれません。そのためには「このぐらい悪いんですよ、その原因はわたしたちにあります…」ということをハッキリと明らかにする。情報開示がなければ、国民の税金を無原則に投入するということはあってはならない!

 金融関連法案の審議はまだまだ続きます。国民の税金を使うときには明確な理由が必要だということを、ご注目をいただきたいと思います。

政治史上画期的な事実

 この野党案が通ったということは、日本の政治史上大変な意味があることです。 

 つまり、日本の政治の歴史の中で、与党そして政府が提出した法案が取り下げられ、野党が出した提案を、与党、政府が「こういうふうに直してくれ…」あるいは「こういうふうに入れ込んでくれ…」というふうにお願いをしてきて、それを野党が取り込んであげて、法案が成立した…。こんなことは前代未聞であり、政治史上画期的な事柄です。

 これまで、それほど日本の骨格を作るような事柄ではないような法案では、野党案(野党の考え方)が主として生きた場合もありますけれども「日本の金融システムをどうするのか…」「金融の危機管理をどう行なうのか…」というようなきわめて重要な問題について「野党提案の法案を政府に丸呑みさせた…」というのは極めて意義の高いことであります。

政権交替!

 反対からいいますと、今の小渕内閣が、こういう重要な事柄について、リーダーシップも取れず、法案を作る能力も非常に劣っているということです。そのことがハッキリ示されたということです。

 皆さん方が、小渕さんを「ほとんど支持をしない」のも当たり前の話であります。

 何をやっているのか何を言っているのかわからないような今の内閣…。先送りと、その場しのぎの現状の中で、もうそろそろ政権が変わらなければ、完全に日本は、世界のなかでドロップし、落ちこぼれてしまいます。

育ててください

 菅直人さんや鳩山由紀夫さんと一緒に進んで行く、我々戦後世代が中心の民主党を、これから皆さん方に「大きく、強く、育てて」いただきたいのです。

 これからも国会で一生懸命頑張って、皆さん方に出来るだけ情報を、お伝えをいたしたいと思います。