1998年6月20日クレメントホテル 合同お世話人会にて

衆議院議員 仙谷由人 

 前回私が当選をさせていただいた頃、つまり1昨年の秋ぐらいまでは、まだ政治がいい加減でも日本は何とかなってきたんだと思います。しかし急激に政治がその役割を果たさないと、決めなければいけないことを決めないと、この国は完全に国際社会の孤児になると同時に沈没をしてしまいます。情けない限りでございます。

 アメリカからサマーズと言う財務副長官が昨日きました。夏(サマー)だから来たのではないのです。アメリカの新聞になんと書いてあるか、「金融敗戦国日本に乗り込んだ平成のマッカーサー将軍」こう書いてあります。進駐軍だということです。占領軍だということであります。つまり日本がこの不良債権問題というものを、臭いものに蓋をして、膿をためてしまった。「おまえ達は何にもできないじゃないか、我々が行って不良債権処理の仕方を教えてやる」と不良債権処理と不良銀行解体の専門家5人をつれて日本に来ました。加藤紘一自民党幹事長と山崎拓政調会長が昨日アメリカ大使館に呼びつけられて、「こうやれ」と命令を受けているのです。こんな情けない話がどこにありますか…。

 私は2週間前から、長期信用銀行という日本の大銀行、資金量が23兆円の銀行、戦後日本の繁栄を支えた銀行です。皆さん方から預金は極めて少ないのですけれども、いわゆる「ワリチョー」という割引債です。皆様方に買ってもらって集めたお金が今でも13兆円あります。それを使って、大会社が中心でありますが、いろんなところに貸しているのです。その銀行が3週間前からおかしいのであります。株がどんどん売られるのであります。今日の徳島新聞は朝日新聞や日経新聞よりはるかに素直に「長銀が自主再建困難に」と書いてあります。再建ということは危ないということ、倒産寸前ということでしょう。

 日本の名だたる大銀行の長期信用銀行が危ないということを教えてもらった方はいますか? こんなに営業が悪いんだと皆さん方に、きちんと大蔵省なり日本銀行が明らかにしておりますか? ある日突如、自主再建困難にという記事が出てもわかりません。

 現に、朝日と日経新聞はまだ政府が長期信用銀行を何とか助けるというようなことを考えているという記事です。隔靴掻痒の記事、何を書いてあるのか解らない。その下に大蔵大臣の談話があります「皆さん動揺しないように」。悪いということも知らされていないのに、動揺のしようがありません。

 そして昨日は、夜の夜中まで大蔵大臣と長期信用銀行の副頭取がもう2回も記者会見をして、「いろんな町の噂は事実無根である、うちは全く心配ない」と言いました。「心配ないならおたく(長銀)の財務内容を6月15日まで日本銀行が定期検査に入っていたのだから、全部出したらどうですか。ディスクローズ(情報を明らかにする)したらどうなんですか、情報を国民の皆さんに見てもらったらどうなんですか。」と新聞記者が聞いたそうです。「いや、心配ないものは、心配ないのだ」とこういう話なのです。

 今日「心配ない」と言っておりますが、実は、昨日の東京証券取引所では長銀株が売って売って売りまくられ、5000万株が昨日売られました。前の日は6000万株、その前の日は45?!O0万株、その前の日は6000万株、その10日間ずーと1200万株売られているのです。ところが買って買って支える人もいるのです。皆さん方が預けた郵便貯金、簡易保険、年金、このお金を自主運用と称してこれで、信託銀行や外国の証券会社を通じて一所懸命に買い支えているのです。

 普通、長銀は一日に売り買いされるのは、多くても200万株です。その6倍が、ずーと10日ぐらい売られてきて、最後の3日に6000万株売られているのです。ところが値が下がらない。売られているのに下がらない。買い支えているからです。皆さん方が預けたお金を使って買い支えているのです。もし、これが山一証券のようになれば、1株1円になります。買い支えた責任はどうなりますか。その可能性は非常に大でありますが、まだ、皆、隠しているのです。そしてアメリカから進駐軍が乗り込んできて「おまえちょっと来い」と「はよう、しっかりせんかい」と言われる。この国はなんなのだと言う気持ちが非常に強くします。

 もう1つ申し上げます。

 中国政府も日本の低金利と円安に、相当怒っているということです。はた迷惑もいいところだと、日本はアジアをつぶすのかと怒っているんです。低金利で困っているのは、皆様方だけでなく、アジアは日本の低金利のために、日本の皆様方が預金をしたお金が、銀行を通じて、アジアへどんどん入ったのです。つまりお金は金利の高いところに向かって動きます。

 タイなどにはまともな工場を作るのに必要なお金の10倍もの資金が入ってしまった。しかし向こうもそううまくお金を使うところがなく、結局、不動産のバブルということになったわけです。バブルが破裂して今や、大変な状況になっているのです。そしてアジアやアメリカに円が流れると円安が更に進み、中国も人民元が相対的に高くなります。中国で作っているものが高くなり、売れなくなります。それで怒り心頭に達しているのです。

 外から見ますと、日本は1200兆円というお金を持っている巨大な債権大国です。「何で、そんな国(日本)が自分たちに迷惑をかけるのだ。我々を助けるのが、日本の責任で!はないか」と言っているのです。

 大蔵省、銀行経営者そして政治家、この人たちの無責任が日本を本当にだめに、少なくとも大不況と国際的信用をなくしています。無責任というのは責任をとりたくないから、全ての事柄について物事を明らかにしない、素直に事実を事実として認めない。認めたら謝らなければならないから認めない。隠す。このことが上の方からそれをやりますから、子供にいい影響を与えるわけがありません。隠しても隠しきれないというこの情報化時代にです。

 今、私は、どうにかしてこのような社会を改革しなければならないというと思っています。人間として、また、日本人としての、尊厳と誇りをもてるような社会と国を作らなければならない、お互いが信頼できるような社会を作らなければならないと、今、改めて思っています。

 そのためには政策的には、金融の不良債権問題は、膿は早く手術をして、そしてできる限り、まともな預金者や取引をしている方々に影響が少ないようにそういう手だてを今から準備をするべきだと…。

 その手だてはあります。しかし事実を認めないとそれができません。そして皆さん方に多少ご迷惑がかかるかもしれませんが、率直に事実を明らかにして政治家がそれをお詫びするしか、この大変なきびしい困難な状況を乗り越えて次に進めないと思っています。

 私たちはこの50年「今日のメシ、明日の収入」というものを大きな目標に掲げてきました。このたびの参議院選挙のことでも「自治体の予算をつけてくれるのは自民党だ」として野中自民党幹事長代理が徳島に来て、県や市町村の首長までも皆呼びつける、このような政治が本当の政治でしょうか。このような心貧しいやり方が、我々の志を毒しているのではないだろうか。

 補正予算で使うお金は借金ですから、建設国債と赤字国債でありますから、我々の子供や孫までも含めて60年かかって借金払いをしていかなければならないお金であります。そういうお金も時として、まだ生まれていない子供に手を合わせながら使わなければならない時もこれからまだ相当あると思います。しかし手を合わせて謝りながら使うということが大事なのでありまして、「明日の飯のために300億でも400億円でも補助金のつく事業は取っておかなくては損だ」ということを続けますと、日本は円安もひどくなりますし、借金の金利で首が締まってきます。サラ金地獄の人と全く同じことになりつつあるのです。

 もう一つ考えなければならないのは教育の問題です。教育というのは「我々の生き方なのだ」ということを確認したいと思います。この問題はいつも複雑な問題と反応がありますが、良い大学に入って、大蔵省にはいることがそれほどの人生ではないということが、最近、明らかになったのではないでしょうか。

 それぞれが自分の才能を開花できるような生き方をする、そういう学校をみんなの手で作り上げるということがまず一番大事で、大学へ行ったら遊んでいても就職さえできたらいいというような社会は、誇りうる社会でもないし人間的でもありません。

 大学へ行ったら必死で勉強するような、そして学んだことを他人や社会に役立てることが当たり前なんだ、そういう仕組みと考え方を作ることだと思います。

 この時代に必要なのは、澄み切った目線と、澄み切った考え方と、人間に対する信頼でございます。そして政治の世界で行われている少々の近欲(目先の欲)をつるして人を引きつけたり脅したりする、このやり方に対する徹底した怒りでございます。そこに庶民と市民の正義感を共有する、そのことがなければ政治を語る資格もなければ政治家を名乗る資格もないと改めて思っているところでございます。

 高橋きせこさんはそういう透徹したお気持ち、優しい人間愛をお持ちでございます。そして、三木武夫先生からちゃんと受け継がれている、汚い政治は絶対に許さない、自分の近場の人たちだけが良くなる、その人達が利益を得られるよう斡旋する、それが政治だと、口利きこそが政治であるという愚かな政治はやめさせなければならない、この精神で蛮勇を奮って、今度の参議院選挙徳島選挙区から立候補を決意してくれたわけでございます。

 そこから約6ヶ月間、高橋さんは徳島県内を歩かれました。しかしくだらない中傷や無視の態度を受けながらも、頑張っていると思います。いくら三木先生のお嬢さんといえども選挙は甘いものではありません。人それぞれいろんな見方をされます。そのなかでここまで頑張ってこられました。もう後一歩でございます。客観的情勢は相当厳しいものです。しかし今日おいでの皆様方が私に与えてくれたあついお気持ちを今度の選挙で高橋さんに貸していただけたら、この徳島の戦い、怖いものはありません。

 皆様方お一人お一人の信頼感と情熱がこの徳島で勝ち抜かしてくれると信じています。今度の選挙、高橋きせこさんを是非、勝たせていただきたいとあらためて心からお願い申し上げます。