「これでいいのかッ!日本の政治」

 〜膿を出し、政治の再生を〜                  

1997年10月10日

〈仙谷由人、徳島駅前街頭演説より〉

 

★【不安な時代】


 今、日本には「将来が不安」な状況が生まれています。バブル経済が崩壊した後、大銀行や大証券会社の責任者が次々と逮捕され、当然、株価もじりじりと下がっていく状況です。どこへ行っても「大変不景気だ」という話を聞きます。しかし、今まで日本は、色々な問題がありながら徹底的にメスを入れることなく、その場その場を、臭いものに蓋をしながら、戦後50年間をしのいできました。幸い、日本は、東西冷戦の谷間の中で、近隣諸国に気を使うよりも、アメリカとの友好の中で、右肩上がりの経済成長を続けてこられました。このことにより「臭いものに蓋をするやり方」も何とか続いてきた訳です。

★【税金の使い道が違う!】

 戦後、国民の一人ひとりが汗水を流して働き、現在、一定レベルの豊かな生活は保たれているように思います。しかし、今、国民は将来が不安です。その不安の一つは、「どこまで消費税が上がるのか今のように高い所得税をずっと払わなければならないのか、医療費も更に高い負担を要するようになるのではないか」という、先が見えない、金銭面での負担の重さについてです。もう一つの不安は、「病気になったり、身体が不自由になったときの、介護や福祉の制度」についてです。この面での制度や設備は、日本はまだまだ立ち後れています。そして、世話をする人手も大変不足しています。後で述べますように、無駄に道路を掘り返したり、有り余った農地を作るのに非常に多くの無駄な税金を使っているのに比べて、高齢者をお世話する人をつくるところに使う税金は余りにも少ないのです。このようなことを私たちはいつまでも続けてよいのでしょうか。

★【デタラメが当たり前でいいのか!】

 『ゼネコン疑惑』というものがありました。土木建設業界は談合の世界のようですが、ひどい政治家は「口を利いたら3%を持ってこい」というような話が頻々と聞こえてきます。今度の『泉井事件』というのは『ゼネコン事件』ではありませんが、輸入割当枠があった時代の、石油という統制された商品の割当をめぐる事件の話が底辺にあるのです。そこで、64億円という、手数料だか袖の下だか、訳の分からない金が動いたのです。これが『泉井事件』の発端です。泉井氏が『三菱』から64億円をもらい、税務署に申告をしなかったことが発覚して『脱税事件』になったのです。このうちの相当部分が政治家に渡されたのです。泉井純一氏が、脱税したお金を政治家に配りまくっていたこと、そして、派手な接待をしていたことが明らかになっています。また一方で橋本首相は、有罪が確定した佐藤孝行氏を総務長官(行政改革の責任者)に据えました。しかし、国民の強い批判に、7日間で長官を更迭せざるを得ませんでした。徳島の元総理大臣、三木武夫氏の座右の銘は「信無くば立たず」でした。政治家が国民の信頼を得ていないと、何を言っても信用されない、政治は成り立たないということです。いくらきれい事を、バラ色の夢を語っても、その政治家が袖の下を取っていたのでは、国民はその政治家、政党の言うことを信用できないのは当たり前です。泉井氏から小渕外務大臣に1億円、森自民党総務会長に5千万円という金が渡されていたと報道されています。山崎拓政調会長には、なんと2億7700万円が渡されたと、泉井氏は話しています。それは平成4年の自民党総裁選挙で宮沢氏と故・渡辺美智雄氏が争ったときに30億円必要で、そのうち3億円を泉井氏に用立てを依頼したが2億円しか用意できなかったとのこと。さらに宮沢内閣ができて、山崎拓氏を建設大臣にするために5千万円を泉井氏が工面して、渡辺美智雄氏に渡したということです。田中角栄も大きな派閥を作り維持するために、ロッキードからの5億円が必要だったのでしょう。自民党の政治は水面下のドロドロしたところで腐った金がうごめいています。この図式はこの度の事件も当てはまります。この金をもらってどんな見返りがあったのか、はっきりさせなければなりません。

★【泉井純一氏の証人喚問を!】

 私共は、たびたび繰り返されるスキャンダル、汚職、腐敗、について、皆様と一緒に、たえず厳しい目を向けて批判をしなければなりません。今度の国会も『財政構造改革』という国民にたいへん大きな負担をもたらす法案を審議することになっています。しかし、その前提として、政治家に腐敗やスキャンダルがあるとわかった時には、まずその問題について、国会あるいは政治家が、自らをきちんと清める力があることを、即ち、まず泉井純一氏の証人喚問をすることを決めてから、国会の日程を決めようではないかと提案しています。これは国会の場で政治家の誇りにかけて解明をしなければならない問題であると、民主党は主張しています。この問題は国会の審議を停めてでもやらなければいけない大事なことですが、この時期、景気対策や、540兆円の財政赤字対策、そして日米ガイドラインの話し合いですべてアメリカの言いなりになってしまわないように、どうしても必要な審議はしなければなりません。民主党は弱腰ではないのです。建設的意見を主張しています。この問題で、私たち民主党の主張を自民党も受け入れて、11月末までには審議をすることになりました。健全な批判がこのような結果をもたらしたのだと思います。

★【大変(大きく変える)な時代をリ−ド!】

 新進党の小沢氏は選挙で政権交代をすることを諦めて、自民党を2つに割って『保保連合』を作るようなことを考えているようですが、これははなはだ不健全です。「我々が政権をとったときには、このような政策をします」と提示して、選挙に勝って政権をとるということが正しい道筋だと民主党は訴えています。来年の7月には参議院選挙があります。自民党のおごり、腐敗した政治を、そして何よりも、中央の官僚機構の上に乗った今の政治を変えなければ、借金が増えるばかりで、「住みやすいゆとりある生活」を手に入れることはできないと思います。

★【税金は1円たりとも無駄に使ってはならない!】

 今、国(中央・地方を併せて)の借金は540兆円、国(中央)の表にでている借金だけでも240兆円あります。金利の低いこの時代でも、11兆円が利子に消えています。特殊法人や、県や市が借りている借金の金利をあわせると14兆5千億円という金額です。国庫に入る税金は全部で57兆円ぐらいです。そのうち14兆5千億円が利子として消えています。これは大変なことです。

 少し景気が悪くなると、安易に不必要な公共工事をすることが癖になっています。これは構造的なもので、農林省、建設省、運輸省、建設省の中にも河川局、道路局、都市局、住宅局、いろいろな局に分かれていて、縦割りにになっていますから、「水道工事をするときには、部署が違うから電線を埋め込む工事はできない」というようなことがよく言われています。このようなやり方を直さないと、いくらお金があっても足りません。せっかくの税金を有効に使わなければなりません。

 今、全国各地で戦後間もなく計画され作られた干拓地があります。減反政策で、これらの3分の1から3分の2しか使用されていません。せっかく、国民のお金で作った農地を、減反のために使ってはいけないという政策が一方ではあります。今、農地は90万ヘクタール余っています。日本全体の住宅地をあわせると、同じく90万ヘクタールです。ところが農林省は「まだ農地を作らなければならない」と、借金をして、税金をつぎ込んで、潮受堤防をつくるということが、少し前に全国的な話題になった『諌早干拓』です。干拓地は多分、3分の1も使用されないと思います。地元の人の意見では「農地は必要ない」と言います。今から農地を作って耕作をする人がいるのでしょうか。全く無駄なことなのです。

 日本の食料自給率は40数%で低いと言われています。これはカロリーで計算した値です。ところが、私たちが健康的に生活するために、米を食べ、野菜、魚と少々の肉で豊かさを感じられるとすると、自給率は全く心配いりません。今でも、米の自給率は130%です。今、北朝鮮では、米が200〜300万トン足りないと言われています。日本では300万トンの米が備蓄され、今年また200万トン余ります。500万トンが余り、備蓄されるのです。約100万トンで3000億円、5000万トンで1兆5千億円が、米の買い上げ代金及び保管料に消えています。さらにまだ借金をしてまで、税金で新しくたんぼを作る必要があるのでしょうか。いつまでもこのようなことを続けさせるわけにはいきません。

★【仙谷由人が目指すもの!】

 私、仙谷由人は、政治倫理を我々が自ら確立し、私達が払う税金が無駄遣いをされない仕組みと、税金の使われ方が私たちの目に見えるようにする仕組みを作るために頑張っていきたいと思います。