「仙谷由人の構造改革」〜vs「聖域なき構造改革」〜

 

2001年5月25日 講演

仙 谷 由 人

 

 

はじめに

 仙谷でございます。

 昨年から、KSD問題を追及していたわけですが、KSD事件というのは、その根底に流れている、いわゆるこの国のシステム、あるいは統治の仕組みそのものが表面に出てきたという意味で大きな事件であったと思います。といいますのは、KSDという公益法人が、その右側か左側かに政治団体をつくり、ある政策目的のために受け取った補助金が、その政治団体を通して自民党へ党費なり寄付金として流れ、また一部が有力な政治家へ渡ったという仕組みです。そしてその裏側では、KSDが「アイムジャパン」なり、「ものつくり大学」といった、本旨から逸脱した事業の拡大のために、有力政治家や政党をバックに労働省に働きかけ、それが本来必要なものかどうかという検証がなされることもなく、労働保険特別会計から巨額の補助金が流れたということです。 特別会計から出される補助金と、それに群がる官製の特殊法人、認可法人、公益法人が業界を支配し、その裏側の政治団体がカネで政治をコントロールする。このシステムがクローズアップされたわけです。

 小泉さんが総理になって、「聖域なき構造改革」を唱えておりますが、ここのところを断ち切りませんと、この国は一歩も前に進めない、そんな気がしております。

 

1 小泉内閣の出現と高支持率の背景

(1)メディアを通じたアピール

 小泉内閣という極めて予想外の内閣ができ、大変な高支持率をとっているということもあり、われわれもこの分析と対応に、率直に申し上げて考え込んでおります。

 経済雑誌等々にも書かれているように、9月という節目を過ぎれば、むしろマーケットからの問題で、小泉さんの高支持率も自民党も大変大きな矛盾を抱えることになると私は予測していますが、東京都議選、参議院選挙といわれますとちょっと打つ手があまりないというふうに思います。

小泉さん自身の今回の総裁選挙をみておりますと、特に国民の反応は「悪玉5人組」というのかどうかわかりませんが、テレビに出れば必ず票が減るという顔つきの方々に対して、1人で闘いを挑んだという、この清々しさがなんともいえなかった。

 そして負けると思われていた勝負に勝ってしまった。この清涼感というものがものすごいインパクトがあったんだと思います。私の配偶者なんかも、「改革、改革と言っているけれども、本当に我々日本人の、今困っていない方の3割ぐらいは大変なことになるぜ」と言いましたところ、「いや、お父さん、あの人たちが出てこなくなっただけでも本当に気持ちがいい」こういう感じです。

 昨日地元に帰って法事に出ていましたら、私と年が同じくらいの女性の方々が「テレビ中継が大変おもしろくなった」というんです。これは小泉さんの語り口でもあり、要するに丁々発止の、あまり理屈っぽくない議論をしているからだと思いますが、おもしろくなったという。

 こういうものの言い方をされて、委員会審議の一場面がワイドショーで放映される。小泉さんと田中さん、塩川さんが放映されるという事態ですから、ある意味で、現時点で国民に政治を近づけたという評価はできるんだろうと思っております。

 ただ、この「改革」というものが幻想として終わったときは、その裏返しとしての政治不信がもっと大きくなるんだろうなと思ったりしています。

 

(2)危機感と閉塞感

 2年前私は、武村正義さんが主催された「財政赤字を憂える会」の幹事長役を、なぜか引き受けさせられておりました。小泉さんも顧問としてよくご出席され、財政赤字の問題、財政破綻の問題については、当時の自民党の中では梶山静六さんと並び称されるぐらい、深刻な危機感と問題意識をお持ちになっておられました。今日の予算委員かを聞いておりましても、そこだけは非常に真摯にお認めになっているということだろうと思います。

 国民の相当部分の方も、将来不安の中の1つの大きな不安要素として、この財政赤字の問題を捉えております。増税不安なのか、ハイパーインフレ不安なのか、そこまで論理的に考えているのかどうかわかりませんが、いずれにしても大変な生活防衛意識が入っていることは間違いありません。

 にもかかわらず、財政赤字を垂れ流しながら公共事業をやる。一向に景気はよくならないけれども、土建業者だけが田舎に行けばいくほど公共事業をよこせと騒いでいるというこの構造に大変な閉塞感を持っており、とりわけ昨年の例の加藤政局からは、その閉塞感が積もっておったということでありましょう。

 

(3)開き直りとリスクテイク

 そこで、大胆なリスクをとって、開き直って闘い抜いた小泉さんが勝ったということで、大変な人気というか、歓迎され、組閣人事でエイヤーとこれはなかなかできないことだと思いますが、年功序列を否定して、女性を登用した。これだけでも相当思い切った人事だと思います。

 そこまでやってしまった小泉さんが、つい最近ハンセン病裁判の控訴を断念、放棄するという、これまた霞ヶ関官僚にとっては考えられもしないことをやった。いくらパフォーマンスだといっても、ここまでやるというのは、菅直人がエイズで厚生省の役人を怒鳴りつけて、書類を出させて、謝ったということに匹敵する。これは、ある種の快挙というふうに国民がみていることは間違いないことだと思います。そういう意味で、なかなか大胆で勇気がある。1つ1つ課題を設定して、従来とは違う解決手法で解決していくところが、これだけ高支持率の原因だろうと思っております。

 

小泉総理を支える勢力

 ただ問題は、私どもが中から見ておりまして、これは同日選挙の問題とも関係しますが、この小泉政策といいましょうか、小泉路線を支える政治勢力がどこにあるのかということがさっぱりわからない。先般も清和会の幹部と話をしましたが、やっていることを全面的に支持し、信頼しているような雰囲気はありませんし、田中外務大臣については噴飯ものであるという雰囲気です。これを「いつ代えるのか」、「代わりはもう用意はできているぞ」という話まで飛び出すぐらいの雰囲気でございます。つまり、国民的な支持勢力、世論調査的支持勢力はたしかに小泉さんに80%ぐらいありますが、国会内の支持勢力がどこにあるのか、誰が支持しているのかさっぱりわからない。

 この際は首をすくめて黙っていよう。参議院選挙もあるから、ここで内紛を起こしたり、守旧派というレッテルを貼られたんではまずいという極めて政治的な判断で小泉政策を認知するという方向で今はやり過ごしているんだろうと思います。

しかし、小泉さんの参議院比例区の候補者と、小泉さんの脱派閥なり、あるいは構造改革路線というのは、本来なら真っ向から切り結んでいただかなければならない。つまり、小泉さんが徹底的に壊す対象は、まさにあそこに象徴的に表れているわけですから、これは大変な逆説の中に小泉さんが入っているということも意味しているんだろうとみております。

 夏の参議院選挙で、私の地元の徳島選挙区では、46歳の弁護士に民主党からの出馬をお願いしました。相手候補は自民党の現職で、橋本派(経世会)に所属していまして土建業者の方ですが、小泉さんが出てくるまでは、有権者は「仙谷さん、今度の選挙は勝てそうですね」という雰囲気が広がっていました。しかし、小泉さんが総理になると、「5分、いや4.5対5.5ぐらいに厳しくなりましたね」と、雰囲気は変わりました。

 なかなか苦しい闘いになったなとみていますが、これほど全国的な小泉人気で、自民党が退潮傾向を食い止める、もしくは大勝するということになると、あるいは衆議院選挙も同時にやったと仮定しますと、妙な話になりますが、小泉人気で自民党が勝てば勝つほど反小泉派が増える、という関係になってくるんだろうと思います。

 

構造改革と小泉政策

(1)小さい政府

 小泉さんの政策を私なりに振り返ってみますと、今日の予算委員会でも、「大きい政府をやめるんだ。小さい効率的な政府をつくるんだ」ということをおっしゃっていました。彼の頭にあるのは、財政破綻をどう回避するかということであります。今日の口ぶりからしましても、これ以上財政を肥大化させるというか、破綻状況を深刻化させると金利の方に跳ね返るということまでは小泉さんもおわかりのようであります。そこで、財務省が知恵をつけたんだろうと思いますけれども、道路特定財源に手をつけるという挙に出てこられたんだろうと思います。

 私どもも昨年の衆議院選挙の前に財政再建計画というのをつくりました。これはどのようにに考えても、道路特定財源に手をつけないと、別途の増税路線を敷くしかありません。そのときに考えましたのは、10年間でプライマリーバランスを均衡化させるということでしたが、10年間の計画でも、道路特定財源に手をつけて、毎年1〜2兆円の歳出カットをしなければならないということでした。

 それが常識的な見方ですから、上乗せの暫定税率をどうするこうするというのは、自動車業界や石油業界が何と言おうと、この税源は確保して一般財源化するしか財政再建という観点から考えると、あるいは財政構造改革という観点から考えると、そこだけは譲れないんだという気がします。

 小泉さんは、さらに、道路公団の民営化ということまで言い出しました。ただ、民営化するというイメージはなかなか難しいと思います。

 例えば、本四公団のようになってしまえば自己完結的でありますから、従来の債務の一部もしくは相当部分を棚上げして、一般会計が背負う。国鉄・JRとよく似た方式で、あの道路の借金を少なくして、賃料収入で経営ができるような仕組みを考えて、民営化するということは考えられないわけではありません。しかし、道路公団の場合は、まだ延々と造り続けるという前提があるわけですから、民営化するというのはなかなか容易なことではないのではないかと思ったりしています。それにしても道路公団の25兆円という債務と資産のバランス、それから債務と金利の支払と料金収入の関係というのは、どこかで明らかにしなければならないと思いますし、そのことを何らかの格好で処理することは日々迫っていると思います。

 

(2) 財政改革

 それから、これは財政の改革でもあるわけですが、22本といわれる特別会計がございます。それが今日お持ちした資料1で、特別会計の借入金だけを抜き出したものでございます。

 これは実は、自民党の行革本部が牧野(隆守・元労働大臣)さんが本部長の時代に、専門家に依頼しつつ財務諸表を各役所に開示させました。その開示させた財務諸表を前提に借入金とか剰余金を計算、分析しておりましたところ、行革本部長が野中さんに代わり、これをみて、「これは当分公表しないことにしよう」という話になったものであります。

 しかし、4月1日から情報公開法が施行されましたので、その2〜3日前に参議院の財政・金融委員会で民主党の峰崎直樹議員が明らかにせよというふうに迫って公開させたものであります。

 それをもとに、借入金だけを抜いてきたのがこの表でございます。

 合計でみますと、107兆円の借入金が、主として資金運用部の特別会計から貸し付けられております。すべてが借入金を返済できる可能性があれば、それはそれで全く問題はないわけでありますが、皆さんご承知のように「都市開発資金融通特会」「空港整備特会」、「道路整備特会」、「国有林野事業特会」、「国営土地改良事業特会」とかになりますと、これはちょっと危ないんじゃないか、というのが常識的な見方だと思いますが、これらはすべて郵便貯金を委託された資金運用部から貸し付けられております。

 地方交付税も2000年度で38兆円、2001年度では42兆円という単年度といいましょうか、累積の借入金が発生しているわけでございますから、現時点では隠れ借金ではありませんけれども、これも大きな数字だと考えざるを得ない。特別会計がいかに毀損しているかは、いよいよ今度の情報開示とともに明らかになってくることでしょう。

 

(3)大きい政府の実態

 資料の2と3をご覧いただければ、これは由々しい問題だということを実感していただけると思います。

 ここに何が書かれているかといいますと、今申し上げました特別会計の単なる1つである労働保険特別会計の雇用勘定(資料2)、労災勘定(資料3)から、労働省所管の各特殊法人、認可法人、公益法人に交付された補助金額の一覧表であります。私は、単位が違うのではないかとびっくりして聞き返しましたが、このとおりだということでした。13年度には雇用勘定から3963億円、労災勘定から1018億円という補助金が特殊法人、認可法人、公益法人に流れているという話であります。

 問題なのは、この特殊法人、認可法人、公益法人が労働市場の中で何らかの役割を期待されて、ある種の事業をするために、この2つの勘定から、こういう委託費なり、補助金なりが交付されているとすれば、何をやっているのでしょうか。毎年5000億円も使ってどういう役割を果たしているのか、少なくとも私ども国会議員の目には見えないし、マスコミにもほとんど見えていない。

 ジャーナリストの北沢栄さんという方が、今度「公益法人」という本を岩波新書から出版されました。そこでご自身が掘り起こしたいろんな問題点をお書きになっていますが、労働保険特別会計から出された補助金が、各公益法人や認可法人や特殊法人にどのように使われて、どんな効果をあげているのかは、さすがに北沢さんの本でもそこまでは突っ込んで書かれていないわけであります。

 そうだとすると、他の特別会計、他の特殊法人、認可法人、公益法人も大問題なのがいっぱいあると思いますけれども、少なくとも労働市場については、ミスマッチを起こしていると言われつづけながら変わらなかったこの10年なのか、20年なのか、遅きに失し、かつまた現時点でも何ら効果的な政策が実施されず、単に天下り官僚のメシの喰いダネにしかなっていないのではないか。これでは労働保険料を払う企業も労働者もたまったものではないという気がいたしまして、ここのところを中身的にもえぐらなければいけないと思っています。

 ただ、ご覧いただければおわかりのように、数がものすごく多いということと、業務内容がよくわからないということもあり、それほど作業が進んでいるわけではありません。

 

産業構造改革と労働市場政策

 労働市場政策というのは、基本的には世代間での労働力の再生産、あるいは労働者1人ひとりの労働力の再生産について、産業構造とのミスマッチを起こさせないようにする。あるいは日本の場合は、92年にサービス業と製造業の労働力構成がちょうどクロスして、そこからサービス産業化せざるをえないという時点があったわけですが、そこのところにほとんど手をつけず、かえって製造業大企業を特定不況業種に認定して、雇用調整給付金を積んで、不要になった労働力をとにかく企業内に抱えろということを、労使それから労働省が合意して、お手々つないでやってきた。

 その膿が現在ますます大きくなって、こういう状況になっているとみておるものですから、産業構造の転換を進めていくについて、これから苦労していくんだろうなと思います。

 もう5年前になりますが、連合のシンポジウムでこういう話をしました。

 今こそ労働の流動化に対応して、職業訓練と職業紹介を民営化する。全面的に民営化などという無茶なことは言わないけれども、少なくとも連合という労働組合は、自らそれを始めるべきだ。産業別労働組合であれば、当然行うべきことをやっていないわけですから、それをやるべきだという話をしたんです。

 そしたら、帰りに連合の幹部に呼び止められまして、彼は学生時代から知っている人なんですが、「あんなことを言ったら、皆に嫌われるから言わない方がいい」と忠告をいただきました。どうしてそうなのかと聞きましたところ、「みてご覧。今日来ていたのは全部企業別の旗毎に座っていたでしょう。松下、東芝、日立と、企業を動くことすら嫌がっているのに、産業間を動くなんていう無茶なことを言ってもダメなんだよ」

 おっしゃるように、年功序列賃金と社内貸付とか諸々の企業を離れられない諸条件が、一流企業になればなるほど"フォーゲル、フライ"(鳥のように自由に飛び回れること)じゃない状態にあることが労働側をとりまく事情で、そこにメスを入れないというよりも、日本の労使慣行のみならず社会的安定の礎と位置付けられていることが、今バリアフリーになりつつある。

 そして、なによりも労働省をみておりましたら、ここの既得権、縄張りの意識というのはまたすごいもので、そこの理論的な正当化は、女工哀史を繰り返すな、たこ部屋、ピンハネ、前借金、女衒、こういうものは絶対にいけないんだという、これを言い張るわけです。この思い込みは彼らの都合だけで言っているんだと思いますけれども、このことを前面に押し立てて、職業訓練と職業紹介を民間に開放してはならないという理論の下に、官が指定したことであれば許されるんだということで、補助金を出して、官僚の仕事にしているということですから、依然としてこれはミスマッチが続きます。

 つまり、産業的ニーズが反映しないんです。職業訓練と職業紹介のところを大胆に民間開放すべきだと思うんです。そうしない限り、この時代にそれに対応する労働市場ができません。

 ただ、そこで難しいのは、日本の場合は、経営者も調子に乗ってすぐ労働条件の切り下げをしてみたり、嫌がらせをしてみたりというのがはびこりますから、その監視機関や調停機関のようなものを併せて作らないと、開放するだけでは、おかしいところも矛盾するところも、またまたピンハネするところも出てくるんじゃないかと思います。けれども、まずは職業訓練・職業紹介の民間開放から始めないと日本の労働市場はまともにならないし、産業構造の転換もその分ますます立ち後れると思います。

 

産業構造改革と公益法人

 よく規制改革、規制緩和という話がされるわけでありますが、実は見えざる規制も含めて、規制というその実体を担っているのは公益法人ではないかというのが、現在の私の直感です。

 地元を回っていて、そこで気がついて、それを国会に持ち出しました。予算委員会がテレビ中継されたものですから、わずかな時間の議論でしたが反響は物凄く大きかったのです。それは、建設業あるいは福祉関連なんかでよく見られるのですが、資格認定証、講習終了証、研修受講証などの賞状を壁一面に張り出さないと、日本では仕事できないし、新規参入ができないという現状を指摘したことです。

 たとえば、車椅子の修理をする仕事をしようとしても、ある講習を受けないと営業できない。さらに加えて、何とか協会の会員になって、入会金を払い、年会費を払って、さらに講習料を年間5万円か10万円払わないとそういう仕事ができない。普通の自転車はそういう資格がなくても修理業はできますが、車椅子の場合は、体の不自由な方が使うんだからそういうものが要るんだという理屈だと思うんですが、全てにわたってこまごまとそういう資格が必要とされます。

 建設業に至っては、まともにそういうものを受けて、それで何か工事の質がよくなったりするとは工事関係者の誰もが思っていない。しかし、それを持っていないと入札に参加できませんから、本来的な意味での技術者が講習に行ったり試験を受けるよりも、奥さんを行かせたり、とにかく免許証みたいな賞状だけが要るということが堂々と行われている。

よくまあこれだけいろんなことを考え出すものだなというぐらい、資格商売を考え出しているのが、今の公益法人あるいは役人であります。

 公益法人は2万6千あるといわれておりますが、そのうちの1割か2割は、一方で補助金や委託費を国や地方公共団体から引き出して、お役人のOBがそこでメシを喰いながら、商売のネタとして、そういう資格や研修のようなものを業としてやっているというのがあるとみております。この公益法人の資格の多くを無くすことが、規制改革として一番わかりやすいし、必要なんだろうなという気がしております。

 公益法人という存在が、官益法人ではないかという方もいらっしゃいますし、ここで何がなされているのかということは、われわれには全くわからないということで、私自身もここ数年間着目してきたわけであります。

 

経済戦略会議はなぜ失敗したか

 したがいまして、改革と言うのは、手をつければ個別具体的に大きな問題がどんどん発生してくるということになろうかと思いますが、小泉政権でどこまでできるのか。私自身の個人的な感想でいいますと、できるだけ日本版サッチャー改革みたいなものは小泉さんにやってもらう。サッチャーの場合は労働組合が非常に強かったので、そちらを叩き潰すべしということに相当主眼があったというふうに私は見ておりますが、日本の場合は労働組合がそれほど強くない。

 一言で言えば、労働組合の抵抗というよりも、ここはたぶん政官業といわれている、基本的には公共事業と特殊法人・公益法人が担っている規制をどこまでなくすか、どこまで一掃することができるのかということが、私は日本的なサッチャー改革のような小泉改革と呼ばれるものがあるとすれば、そこをぜひおやりいただきたいと思います。

 以前、経済戦略会議というのが、99年に「日本の構造改革」についての案を出しました。まさに竹中平蔵さんが主導して書かれたんだと思いますが、それについて竹中先生が説明にこられたときに、経済戦略会議に書いてある中に大欠陥が2つあると申し上げました。

 1つは2年間の猶予期間というか、経済再建期間、景気回復期間をおいて、その後構造改革と、財政再建に手を着けるということを示したことです。

 もう1つは公益法人や特殊法人問題に全く触れていないことです。このことは戦略会議の構造改革路線が必ず失敗する原因になると申し上げました。というのは、その2つはまさに両方とも政官業の構造と深く関わっていることでありまして、にもかかわらずその部分に着手しないということを言っている。あるいは予算の配分、予算の執行構造を変えないでいいと言った瞬間に、いくらお金を流しても従来的なところにしか流れないし、効果のないところにしか流れない。そして規制改革をいくら叫んでみても、公益法人、特殊法人に手を突っ込まない限り、これは実体的にメシを喰っている人たちが必死になって守ろうとしている権益ですから、そこはうまくいかないでしょうということを申し上げた記憶があります。

あれから2年経ってみますと、まさにそのとおりでありまして、これは小泉さんの改革政策の一番大きい問題になってくるとみております。

 

不良債権処理と産業構造の転換

 そして、もう一つ不良債権処理でございます。これも専門家でないとよくわかりませんけれども、先般我が党から、本当は、「そごう」のような債権、つまり非分類、要注意先にもなっていない債権で、しかし本質は問題がある債権というのはどのぐらいあるんですかと金融庁に聞きました。そうすると、全国銀行ベースで本来の不良債権とカウントされているのが約80兆円で、さらに約70兆円は分類されていないが問題があるという債権であるという答えが返ってきました。

 いわゆる問題債権、あるいは俗に不良債権といわれるものは150兆円ぐらいあるという話です。150兆円ということになりますと、国内金融機関の総貸付額が670兆円ぐらいだと言われていますので、その4分の1が何らかの問題があるということになるわけです。これは処理しなければならないんですが、日本の場合にこれを処理するということはどういう事態が生まれるかということは、ほぼ専門家でも想像のつかない話ではないでしょうか。

 ここ数日の新聞を見ていると、2001年3月期末で主要行は不良債権約13兆円のうち、4兆円ぐらい処理したという記事が出ていました。しかし、今分類された主要16行の不良債権は41兆円あるわけですから、4兆円づつやると10年かかるという計算になります。その間にまた不良債権がどんどん増えてくるということにもなりかねませんし、なによりも日本の場合の大変大きな問題は、日本の銀行は取引先と株式を持ち合っていることです。この持ち合い解消の対応策として「銀行保有株式買上機構」という話につながっていきます。

 さらに銀行は、主要行で株式を約38兆円保有していますが、なんと国債も41兆円というレベルで持っていますし、主要行のほか、全国銀行、生損保合計では95兆円の国債、21兆円の地方債の残高という大変に大きい株式と債券を金融機関が抱えてしまった。(資料4)

 国債はもともと主要行で10兆円ぐらい保有していましたが、他に運用するところがないという理由で、この間、とりわけこの2〜3年は、国債に逃げるというやり方で4倍に膨れ上がった。

 このことによって、銀行は不良債権以外に、資産の方からも大変なリスクを抱えるようになってしまった。

 従いまして、銀行が不良債権をうまく処理するためには、1)不良債権がこれ以上増加しないということ、2)さらに地価が下落しない、つまり担保価値を目減りさせないこと、3)それから株価も下落しない、4)債券バブルも崩壊しない、つまり長期金利も上がらない、という4つの条件が全部当てはまらないと、日本の銀行は、何年かかっても不良債権を処理できないと言う専門家もおりまして、私もこれはいよいよ日本も大変なところにきたなというふうに思っております。

 そごう問題が世間の注目を浴びた。つまり長銀処理について国民の反発が大きくなったとき、あのときも現象的には借り手保護ということで、例えばそごうやハザマ以下のゼネコンを潰すと連鎖的に倒産が発生し、失業者が出る。だからそのことを一挙にやるのはダメなんだという理屈で、長銀処理も穏やかに行いました。

しかし、実はそこにとどまらず、問題は銀行同士が貸し込み合いをしているそこにあったと思います。そごうやその他ゼネコン等を潰すと、地銀にまで波及し、銀行が連鎖的な倒産がでる可能性があるということが一番の懸念だったのではないかと思います。金融庁もそこをみて、しびれて、長銀の処理もああいうことにしかならなかった。

 これから長期金利が1%でも2%でも上昇したときに、どういう会社が、つまり有利子負債の多い会社にどんな余波があるのか。そのことがまた銀行間の貸し込み合いにどう影響し、どういうふうに銀行の屋台骨がガタガタになるのかという懸念は当分の間去らないのではないでしょうか。

 

対外政策の自閉性

 もう1つ、小泉政権が中長期的には大変大きな問題を発生させるのではないかと思っているのは対外政策であります。特にアジアをどうみるのか、アジアの中で日本がどう生きていくのかということです。

我々は抽象的に「アジアにとけ込む日本をつくろう」なんてことを言っています。もう少し具体的に言いますと、例えば韓国との間の自由貿易協定を締結しようという下話の下話のようなことが進められてきています。ただ、韓国との経済的、社会的な連携とか、相互交流とか相互浸透とかいうものを、どのような方向に向かって進むのかどうかということについて、政策的な判断がほとんどない。

 そういう意味では、小渕さんは、なんかもう一つ煮え切らないようで、それほど好きにはなれなかったのですが、あらためて、日韓パートナーシップ宣言を読んだり、発表された当時はそれほどしっくりこなかった「21世紀の日本の構想懇談会」の報告書を読みますと、移民政策とか、第二国語としての英語というふうなものに言及しており、それから"隣好"という造語までして、隣接諸国との外交を大事にするんだ、友好関係を大事にするんだということをいっている。

小渕さんが「21世紀の日本の構想懇談会」を書かせたのは2000年1月でしたが、たった1年ちょっと前の話です。そういう小渕さんのところまでは金大中さんが日本に来られて、その後小渕さんがそれを発展的にやってきたことと、小泉さんの靖国問題や教科書問題での対応をみていると、相当違うなというふうに感じられてならない。

 そうだとすると、具体的な日韓の自由貿易協定なり、日韓のマーケットをどう共通化していくのかという観点はなくて、わりと一国主義的な部分が強いのかなと感じます。

アメリカとの関係はこれからどうするのかわかりませんが、単にアメリカの対中国脅威論といいましょうか強硬論のようなものに乗っていくということになるのでは、またまた右往左往路線ななると思います。

 つまり、小泉さんの政権は「この時代に軸に据えるべき価値観」というようなものが、あまりないのかなという感じがいたします。そういう目で、この間の所信表明を聞きましたときに、例えば「人権」などという言葉は一切出てこない。この人の考えることは、そういうことなのかなと思っておりました。話は飛びますが、KSDの一連の事件を見ますとやはり人権という価値観を踏まえたうえで、外国人労働者を日本の労働市場の中にどう取り込むのかということが、本当は10年ぐらい前には必要だったのです。そのことがなかったために、こういうKSDのようなニッチ(隙間)産業がのさばったというふうに思っています。そういう観点からしても、つまり労働力をどこから供給させるのか、少子化と高齢化の中で、日本のある種のサービス産業化を進めるときに、労働力をどうするのかということが、たぶん一番の問題だと思いますけれども、そこをどうするのかということがほとんど見えていないというのが、中長期的には対外政策と相俟って大問題だなとあらためて感じております。

 

民主党の対応

 菅さん流の発想でいきますと、改革の頭を引っ張るしかないということになるわけでありますけれども、私は先ほど申し上げましたように、1年とかあるいは半年とかいう期間の中で考えれば、小泉さんに大いに改革をやらせることで自民党内に亀裂をつくってもらい、さらには自民党の支持基盤を自らの手で解体していただくということが先決で、政策的には是は是、非は非として対応をとるしかないし、そのような対応をとることが民主党的に、あるいは日本という国の将来のためにも一番いいことだろうと思っております。

 

小泉総理の組織論

 私は昔、学生運動を少々かじりましたので、何かをやるときは組織戦術や組織論がないとダメだということを教えられたものです。したがいまして、小泉さんは、参議院選挙は既定の事実ですから今から候補者を差し替えることはなかなかできないでしょうが、衆議院選挙もあわせてやろうとすれば、ここは小泉党をつくるといいましょうか、小泉改革支持勢力をつくるという組織論が裏側にないと、政治としては全く意味がないと思っております。

もし小泉さんがそのことに思いが及んでいるような人であれば、同日選挙というのは常識的にはほとんど考えられないだろうとみております。

まだ小泉改革なるものの具体像がそれほどはっきりしていませんし、自民党総体として、それに対する政策的路線、政治的路線というものが国民の前に明らかにされていませんから、小泉改革と政党の選択というのが、どうもゴチャゴチャになる危険性が、今の時期の選挙にはあるのかなと思っています。

 4年前、我々は都議選で13議席獲得しました。あの時は、"旧民主党"で闘って得た議席なので、ある意味で選挙制度が中選挙区ですから、がんばれば13議席より減らすということはないだろうと思っております。微増か倍増かわかりませんが、相当程度増やすことはできると思いますが、ただ鮮やかな勝ちっぷりにはならないでしょう。

 参議院選挙は、小泉さんの支持率で、特に1人区は、にわかにわからなくなってまいりました。民主党本部でも、先ほど申し上げました徳島選挙区のようなところは、たぶん勝てるというふうにソロバンを弾いていたと思いますが、今やそこのところはそう楽観的ではありません。

 

政界再編の方向

 今日の毎日新聞の世論調査なども小泉さんの支持率が伸びて、自民党の支持率が落ちている。小泉さんの支持率が今後とも80%台で推移していくと思いますが、たぶん鈴木宗男さんがなんか言ったりするでしょうし、辛抱のできない人がいっぱい出てくると思いますので、そういう人が出れば出るだけ自民党の支持率が下がって、あと2ヶ月の間にそういうふうになれば、参議院の議席もまあまあ小さく勝てるというところでとどまるのかなと思っております。

 ただ、これから先、「あるべき、あってほしい政界再編」に日本が突っ込んでいくのかどうかはわかりませんが、そのとき「政策を軸とした政界再編」になっていくのかどうか。国内政策だけからみますと、そうならざるを得ない客観的な状況があると思います。外交については、古色蒼然たる復古調の「歴史認識」のようなものには肌合いが合う人がそれほど多くないと思いますが、安全保障の問題などは意見を別にする方は少なくありませんから、そこのところが、例の憲法改正の問題と複合して出てきたときに、どんな政界再編の絵になるのかなと思います。

 ただ現象としてはどちらが先かはわかりませんが、自民党が割れるときは、民主党の方も必ず同じような波を被らざるを得ないでしょうし、そのことは腹を据えて、路線の選択に誤りなきを期さなければならないと思っているところでございます。

 まとまりのない話になりましたが、時間になりましたのでこの辺で終わります。ありがとうございました。

Q&A

Q 具体的な問題で恐縮ですが、例えば道路特定財源を外すというのは、原則的には民主党は賛成の方向だと思いますが、実態として自動車総連や自動車メーカー出身の議員が多いわけで、躊躇する面があるんではないかという説がありますが、いかがですか。

 

A 国会議員では衆参で4人ですから、数の上では問題になりません。おっしゃるとおり、私も去年あたりから自動車総連から抗議を受けたり、追求を受けたりしておりましたから、その辺の免疫はできているということと、やはりここはいくら考えても、政治的には、かっこよく言えば、乗り越えていく。つまり、一般財源化を大いにすべきということで乗り越えていくというか、あるいは突っ切っていくということでなければ、我が党も死ぬという認識は若い議員にはより強いし、執行部も大多数になっているのではないかとみております。

 それはお前、タカをくくりすぎだと言われればそうかもしれませんが、私は現在の状況で道路特定財源の一般財源化に弓を引いて党を去る方針は出てこないと思います。

 小泉さんがわりと抽象度の高い政策的発言をして受け入れられているのは、政治学的には、「個別の範囲で部分的に正しいと思われる理屈を集めれば、全体として間違いになってしまうという合成の誤謬を国民の多くも直感として感じ始めているのではないか。つまりこの話は、他の支出はカットされるけれども、道路だけはのうのうと生きていけるという話につながりますから、それでなおかつ全体としての財政が赤字で、子供たちや孫たちに膨大な借金が降りかかってくるんだよという、この議論の前には太刀打ちできないのではないかと判断しています。

 

Q 小泉人気で民主党も困惑されているというお話でしたが、問題は鳩山さんと菅さんですよね。鳩菅という看板の影が薄くなったような気がするんですが、いかがですか。

 

A これはメディアの評価なんですね。ものすごくスピードが早いんです。だから1年も経つと賞味期限が切れると言われます。

しかし、本来の政治というのはそういうメディアの人気とか支持率だけに合わせて何かをすればいいのか、ということをあらためて考えています。

 ただ、私の口から言わせていただくと、ちょっとバラバラだとか何だとか言われたこともあって、両人とも党内融和というか、あまり党内でハレーションが起こらないように、この1年間は気を使いすぎたのではないか。

 それはひょっとすると、昨年の代表選挙で無投票になってしまったことに原因があるのかもしれません。つまり、もう少し無理矢理にでも代表選挙をやって、鳩山・菅・横路で争ったとすれば、以外と今度の小泉人気と同じように活性化して、鳩山が勝ったんだから、鳩山の財政規律路線で文句があるかというので強く押せて、それ自身が中身的に、ある時点でどれほど支持が集まったかは別にしますと、それは外から見ましても、清心溌剌の部分が強かったのではないかと思います。周りにも気を使いだしますと、日本人の合意形成の政治などと言われていたようなものが、ある種談合とも言われかねないように見えますし、国民の目には実に鬱陶しく映るという局面になっているのかもしれません。

 小泉さんのように党の機関もなにも関係なく、勝手に言って、指示を下ろしたらやってくれるんだったら、これは鳩山さんも菅さんも、いくらでもやりたいんでしょうが、そうはなかなかいかない。やはりリーダーシップといいましょうか、思い切った発言をしないと持たなくなっていると言うことだと思います。

 そうだとすると、先ほどの特定財源の話も、公共事業の話も激しいということよりも、原則、筋目だった議論をして、説得できなかったらしようがないというぐらいの構えでいかないともたないということはあります。

 賞味期限の話は世間の人が決めることですからよくわかりませんが、私はそうは言っても誰かに代えたら半年か1年はもつかもしれないけれども、その後はどうなるか知ったことではないというやり方では、あまりやるべきではないし、私もたいした経験があるわけではないんですが、党首の顔というのは大事なんですが、そこだけに頼るというか看板を代えたら何とかなるというほど甘いモノではないのではないかと思います。

 

Q 小泉さんの政策というのは、民主党が先に出していたのをつまみ食いしたような形になっていることがありますね。これをやると、民主党が分断されてくるようなことにもなりかねないのですが、逆に民主党が小泉さんに乗っかって自民党を分断するようなことがあってもいいと思うんですが、いかがですか。

 

A そこは自民党という政党の体質論になってくるのだと思います。あの政党がわりと論理性を大事にしたり、イデオロギーがあるという、ヨーロッパ型の政治であるならば、多分そこはおっしゃるふうになるんだろうと思いますが、そうはならない。民主党が自民党と一緒にやるということは、結局補完勢力になってしまわざるを得ないと思います。

 だから、私は9月なり来年度予算編成で、与党内の各部会で議論が始まったときに、小泉改革がどれだけ足を引っ張られるのか。それとも小泉改革路線が維持されて、どういう大喧嘩になるのか。つまり公共事業の問題と補助金の問題は、ある意味で業界がもたないという以上に、地方の支持がもたないということだろうと思います。

 私は去年の税制改正論議の中でも、いろんな方が、特に首長さん方が陳情にこられたときに、必ず外形標準課税の話を申し上げました。

 つまり、地方自治体の財政に安定的な収入を得るためには外形標準課税が重要だと言うのは10年以上も前から言い続けているんです。このことは、知事会、市長会、都道府県議長会、その種の団体も全部言うし、それから自治労という労働組合も大賛成しているわけです。そして政府税調も外形標準課税でやるべきだというわけです。野党だってほとんど選挙公約に入っている。なんでできないのか。支持基盤である地元の商工会議所が猛烈に反対し、それをだれも説得しようとしないからなんですが、外形標準課税をやるのはいいことだけれども、自分で言い出すのは、支持を失うからいやだ。できるなら県が、あるいは国がやれと言ってくれるなら私たちも賛成する、という態度になる。

 「あなた方が言っていることを、これだけ否定する政党をなんで延々と支持するんですか」ということをわざと言うんです。これが建前と本音が決定的に違う。要するに中央で決めてくれないと我々はどうにもならない、知事が地方の商工会議所に補助金を出しているんだから、ちゃんと説得しなさいというんですが、そんなことはさらさらしない。

 国税庁の役人に聞きますと、日本で今、税金を払っている法人は2割だというんですね。2割のうち半分は建設業で、指名入札にはいるために無理矢理粉飾決算をしてでも黒字にしているというんです。そうすると、日本の法人の中で、企業会計でプラスを出しているのはたった1割しかないということです。だから赤字法人に対する課税になる外形標準課税には反対だというそれなりの理由ではあるんですが、それなら自治体のいろんなサービスを受けても、企業の社会は無税国家でいくんだと、それなら個人の社会も無税国家でいかなきゃなりませんねという話になってくる。

 要するに、税を払う意識がだんだんバカらしくなってなってくるというモラルハザードを起こすのではないでしょうか。

 やはりこれは憎まれても、蹴られてもやらなければならないことではないかと思います。

 ことほどさように地方交付税、補助金、それから特に公共事業的補助金の一括交付金化というところに足を踏み込んだとたんに、地方自治体の本音がでてくる。私なんかは知事や市長の応援を当てにしないくせがついていますが、自民党の議員というのは業界を併せたピラミッドの中で選挙態勢を組んでいるため、自らの選挙地盤と密接に関わっています。ですから、そこの相当部分で異論があがってきたときに、なかなか対応できないということになるのではないか。

 結局、秋の資源配分をめぐる問題のときに、どこまで踏み込めるか。踏み込めれば自民党が割れようが、民主党が割れようが、すばらしいことだと思います。

 道路特定財源と、地方交付税と、特殊法人の大きいところを2つ3つ民営化するというようなことが現実にできるんであれば、その面では大評価をしなくてはいけないと思っております。でも、そのときに自民党という政党が割れずにすむのでしょうか。

 そこまでいけば、(政治的判断よりも)政策的判断を重視して行動することになる可能性もあります。それと予算を組めなかったら解散するという論理はでてきてもいいし、むしろそうすべきだと思います。そうすると、そこは政策を軸とした再編過程に入る。そのためには小泉さんもその政策を支持する議員だけを集めるという組織的な方針、戦術がないとうまくいかないと思います。