憲法をどう考えるか

2000年11月29日

仙 谷 由 人

 

1.近代主権国家

 1.憲法は近代主権国家に固有のものである

 2.近代主権国家は近代市民革命によって作られた

 3.近代市民革命は、絶対主義的王権に対する抵抗が結実したものであった

 4.したがって近代主権国家は、

   1.自由・平等・博愛という自然権的人権を国家権力の侵害から守る

   2.“代表なければ課税なし”という議会

   3.行政・立法・司法の権力分立もしくは相互けん制

   4.政治権力の形成については、直接もしくは間接の差はあるものの国民の投票(=選挙)にもとづく、いわゆる民主主義デモクラシーの仕組み

   5.憲法は国家権力に対する猜疑の体系であり、議会で作られる法にもとづいてのみ、権力行使が許されるという法治主義を基本枠組みとして有する

  5.近代主権国家は

   1.明確に国境によって限定された領土を持つ

   2.物理的強制手段(警察力、軍事力)を独占する

   3.徴税権、裁判力などを保有する

  6.近代主権国家はまたネイションスティツ(国民国家・民族国家)

    =民族自決の原則の実現でもある

  7.国民国家は、自らが支配する領土全体に同一の言語と文化を普及させようとする衝動にかられた政治組織であって、政治的支配の領域と言語文化の領域を一致させることに全力を注ぐ

  8.国民国家は画一的教育を行う

  9.これは工業化が、つまりより均質な労働力を求める

 10.第一次世界大戦後、近代主権国家は国民国家のうえに生存権−社会権保障を行うことにより、現代国家=福祉国家へと変化

 11.福祉国家は、国民経済の成長(ケイジアンポリシー)と社会福祉制度の創設・充実を目標とした

 

2.21世紀(1990年以降)の特徴

  1.グローバル化、ボーダレス化

    モノ、ヒト、カネ、企業、情報、犯罪等々が国境を超える

  2.国民国家は、経済の発展のためにボーダレス化、グローバル化の流れに乗るしかない(EUや自由貿易協定)

  3.国民国家は経済的な一体性を喪失してゆく

    国家主導の経済運営と不可分の関係にある社会福祉制度もその存立の基盤が危うくなる

  4.先進国民国家は、

      ・経済成長の停滞

      ・財政の赤字

      ・失業の増大

    の病の克服が困難となる

  5.出口

    1.超国家的国際機構

    2.分権型社会のマネージ

       神野「シュンペーター的ワークフェア地方政府」

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