仙谷由人代議士と高井美穂さんに、

「夢」を語っていただきました。2000年4月9日夕方

 

今の日本で何を夢見る?

(高井)まず、小渕元総理の入院、気の毒です。やっぱり政治家って神経使うんですね、ストレスたまってあんなことになるなんて、ご家族の気持ちを考えると…。仙谷さんもあまり無理しないでくださいね…。あ、でも今の日本の状態を考えるとそんなこと言ってられないですね。

(仙谷)そう、同情はするけれど…でも、自自公政権を作り、数の論理で国会をろう断し、経済や社会をここまで悪くしたことは指摘しておかなければならないと思う。その内閣をそのまま受け継いだ森新内閣は、直ちに国民の信を問わなければならない。

(高井)このまま国民の税金に頼った公共事業乱発式の景気対策を続けたなら、今にとんでもない社会になっちゃいますね。

(仙谷)毎度毎度の大本営発表のような景気の指標しか出さない政府。今期も少し良くなりそうなことを言っているが、市民にはそれが肌で感じられない。

 バブルの頃にむちゃくちゃをやって行き詰まった銀行、大手ゼネコンを助ける法律や予算、が六百兆円余りもの借金となり、そのつけを国民に回して…。こんな政治をいつまでも続けていたら大変なことになる。

 

夢の見られない今の日本

(高井)その借金を払うのは私たちの世代やその子ども達なんですよね。私の友達も「こんな世の中じゃ、子どもを生んで育てられるのか…」って不安がっています。私に任せなさい(笑)って。安心して子育てのできる日本を徳島を仙谷さん達と一緒に作るから安心してどんどん産んで、って言ってますけど。

(仙谷)それは頼もしい。政権が交替して、真剣に日本の未来を考える人たちが舵取りをすれば、多少痛みを伴うとしても、今のような先行き不安な状態からは確実に脱却できる。

 結婚や、子供を産んで育てるなんていう、ちょっと前なら当たり前のことだった夢が、今は世の中に対する不安と不信で見られなくなっている。政府やエリート官僚、業界のトップ達が腐っているもんだから、妙な新興宗教が大量殺人を企てたり、少年犯罪が凶暴化したり、とにかく日本全体に何かしらどんよりとした空気がそこらじゅう蔓延している。日本のトップ連中を総替えしないとみんな右へならえになってしまう。

(高井)そうですよね。最近のエリート官僚や警察の不祥事にしても、少年犯罪の増加にしても、節操とモラルのない自民党の体質がそのまま社会に反映しますよね。弛みきった政府、大人達をみていると「なんだ、偉い人たちも上手くやってるんじゃないか…」的な悪い方のお手本になっている。

 

未来は自分たちの手で創るもの

(高井)確かに今の自公保のような政治が続くとそうなのかもしれないけど、でも私や仙谷さんみたいな一風変わった人たちも増えてきているのは事実です。変わっているっていうのは、損得勘定だけからいえば政治家になろうなんて考える人が少数だと思う、という意味です。誤解しないでくださいね(笑)だって、これまでの政治家のイメージが悪すぎるし、家族は大変だし…。

(仙谷)よっぽど悪いことをたくらんでいるか、よっぽど志がある人じゃないと一見普通に暮らしているとそれなりに生活していける日本じゃなかなか手を挙げるのには勇気が必要だな…。

(高井)海外留学から帰ってきて、日本の姿を客観的に見られたとき、「これじゃだめだ」「このままでは日本がつぶれてしまう」そう思ったんです。気がついたら民主党の候補者公募に応募してました。(笑)

(仙谷)(笑)これが今の若者の、特に若い女性のいいところだと思う。良いことだと思ったら即実行する行動力。おもしろいと思った事はとことんやる。今の若い人をとやかくいう人も多いけど僕はそうは思わない。

 

未来はないのか

(仙谷)政官財という持ちつ持たれつの狭い世界だけが得をする形態をやめにしないと、日本は経済的にも社会的にも崩壊してしまう。極端な話じゃなくて、そう遠くない未来、あなた方二十代三十代の人が、僕達の年代になる頃、とてつもなく高い税金と、物価の上昇、福祉の切り捨てによって、病気をしても看てもらえない。食べることすらままならない。そんな人がどんどん増えてくる。この前の吉野川第十堰の住民投票でもたくさんの十代二十代の若者達が、自分たちの未来のことを真剣に考え、行動していた。あの情熱とまじめさは、この社会情勢の中で日本の政治の方向まで左右する力を持っていると思う。そして、若者だけでなく、多くの徳島の市民が、あそこまでの力を発揮したことは、世界中に誇れることだと思う。

(高井)自然保護からはじまった運動が、政治の世界の不透明さを問い、税金の使い道まで議論の対象になった、まさに仙谷さんがこれまでずっと言い続けてきたことを市民の方が先に体現してしまった。世の中は変わってきてますよ、市民の方から。

 

時代にあった政治を

(仙谷)政治や、行政の方もその動きに合わせて変わっていかなければならない。遅すぎたぐらいだ。市民の方は溢れる情報を整理して、何が正義か、の判断を下す良識をもっている。これだけ情報化が進んで、一般家庭でもあらゆる情報がインターネット上でやりとりできる時代がそこまで来ている。これまで闇の世界だった政治の裏の話なんかも、お茶の間で、映像入りで公開されるかもしれない。本当はこんな使い方をしてはいけないんだろうけれども、悪いことをする議員さんは、次の選挙で落選する。自民党型の選挙が通用しない時代がやってくる。

(高井)あ、そうだ、私もこの前ホームページを開設しました。より多くの人に私の考えを知ってもらいたくて。

(仙谷)コンピュータ、特に情報通信の分野での発展はめまぐるしく進んでる。流通や商取引の世界も一気に変革するだろう。そこか

ら生まれれてくる様々な弊害もあるんだろうけれども、そこから生まれるものは印刷機の発明よりももっと大きな夢を与えてくれそうな予感がする。

(高井)あ、たとえば教育の世界でもインターネットを使って、今増えている学習意欲はあるけれど不登校になってしまった生徒の授業ができそうですね。

(仙谷)身障者や、高齢者の社会進出にもつながると思う。多様化する社会構造のニーズに合わせたサービスが増えれば良いと思う。

(高井)民間の、若い元気な正義感のある会社がどんどんできていくとおもしろいですね。

(仙谷)日本の大企業と役所と政治屋の世界だけが得するような今の制度を改めなければ。今あるさまざまな規制をもっと緩和したり、お金のない起業家には国が援助するような形を積極的に取り入れなければ日本の発展はないように思う。

(高井)政権交代しかないですね。

 

夢を現実に

(仙谷)日本もまだまだ捨てたもんじゃない。元気な若い人はいっぱいいるし、正義感や平衡感覚の優れた市民が大多数いるし。

(高井)夢が見られそうですね。

(仙谷)これからの日本の社会のあり方として、若い人の自分の持っているアイデアや技術が正当に評価され、評価されれば儲かる仕組みにすべきだ。情報化によって産業構造もスリム化し、本当に良い物、良いサービスにお金を使う時代。もちろん税金は平等に分配され、市民の納得のいく形で使われる。教育や福祉といった、生きるための最低限の保障は約束する。アジアを中心として国際的にもリーダーとなっていく。

(高井)夢ですね。

(仙谷)これが夢で終わるか、現実になるか、僕は日本人が古くから持っている勤勉さと、今の若い人たちの国際的な行動力があれば、必ず実現すると思う。

(高井)頑張ります。

(仙谷)頑張りましょう。